第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-042-C] 乳癌術前補助化学療法開始患者の治療継続に薬局薬剤師が貢献できた一例

野田 佳子, 金城 裕美子, 濱田 みき, 蓑輪 圭一郎 (フロンティア薬局滋賀医大店)

【目的】
術前補助化学療法として、ペルツズマブ/トラスツズマブ/ドセタキセル療法(PER/HER/DTX療法)が開始された患者に対し、来局時の服薬指導に加え、テレフォンフォローアップ(TF)とトレーシングレポート(TR)を用いて薬局と病院間で連携し、副作用発現時の継続的な介入を行い、予定通りの投与スケジュールと手術の実施に貢献できた事例を経験したので報告する。
【症例と結果】
ステージ1のホルモン陽性、HER2陽性、30歳代の乳がん患者。X年11月より、術前補助化学療法としてPER/HER/DTX療法が開始された(DAY1)。
DAY7:皮膚掻痒感でロラタジン10mg/日が処方され、服薬指導時に倦怠感、食欲不振、下痢がないことを確認した。
DAY11:来局時に掻痒感は消失したと確認し、咳、息切れ、発熱がないことも確認した。
DAY21:2コース目開始時に、掻痒感の他に脱毛が始まり、不安の訴えよりTFを開始した。
DAY25:TF時に腕や背中に発疹(G1)と掻痒感(G1)があると聴取した。3日後受診予定のため、ロラタジンでの対応を指示し、TRで医師に報告した。動悸、息切れはないと確認した。
DAY28:TR報告の影響もあり、皮膚科で、ロラタジン10mg/日とジフルプレドナート軟膏/ヘパリン類似物質油性クリーム混合が処方された。1日3回の下痢(G1)があり、乳腺一般外科より、酪酸菌製剤3錠/日が処方された。
DAY32:TFで下痢は1日1回に軽減したことを確認(G1)し、発疹や掻痒感も軽減していた(G1)ため、医師にTRで報告した。
DAY68:TFで下痢の悪化がないことを確認した。
その後化学療法は4コース終了、腫瘍は10mmから5mmまで縮小し、手術施行となった。
【考察】
今回の症例では、TFで得た情報をTRで報告することにより、皮膚科受診へ繋げることができた。また、副作用に対して処方された薬剤の使用状況や、副作用の症状変化をTFで継続的に確認することにより、患者の治療継続に貢献できたと考える。
【キーワード】
乳癌、術前補助化学療法