第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-043-A] テレフォンフォローを阻害する心理的要因の調査及び検討

田之上 聡1, 藤村 直己2, 山上 麻衣子2, 山崎 美紀2, 岡本 ひとみ2, 犬塚 博貴3, 小川 愛4, 廣瀬 隆5 (1.さくら薬局徳山中央病院前店, 2.さくら薬局ひかり店, 3.さくら薬局大村店, 4.さくら薬局三苫店, 5.(株)メディカルシステムネットワーク薬局教育部)


【目的】近年、服薬期間中のフォローが義務化された。その手段の1つに電話でのフォロー(以下TF)があるが、実施状況は個人差がある。本研究は薬剤師のTF実施件数に影響する心理的阻害要因の調査と改善策の検討を目的とした。
【方法】2021年6月25日から同年6月30日に、(株)トータル・メディカルサービスの調剤薬局に所属する薬剤師173名に対しWebでの質問紙調査を実施した。TF実施件数に影響する心理的阻害要因を「時間の有無、知識の有無、患者とのコミュニケーション、意義の理解」と定義し、各要因に対し複数の設問を作成した。各設問は4段階のリッカート尺度(そう思う、少し思う、それほど思わない、全く思わない)で測定し、「そう思う、少し思う」を阻害要因と定義した。2021年2月から同年4月のTF実施件数の上位25%を上位群、残りを下位群と定義し、各設問において、阻害要因と回答した割合の差を両群間で比較した。またTF実施で感じたメリットの有無、及びメリットを感じた理由を調査した。
【結果】質問紙回答率は74.6%だった。阻害要因の割合の差が大きい設問は患者とのコミュニケーションの分類での「同意を得られない」が25%、次いで意義の理解での「業務優先度が低い」が24.4%で共に下位群での回答率が高かった。また、時間の有無の分類での「TF中に同僚の負担が増える」における割合の差は13.2%と上位群で最も高かった。またTFのメリットは上位群が15.4%高く感じ、メリットを感じた上位群で最も高い選択肢は「患者より感謝された」の93.8%であった。
【考察】TF実施件数に影響する心理的阻害要因は患者とのコミュニケーション、意義への理解であった。また、TFに積極的なほど時間不足や同僚の負担を感じているがTFでのメリットや成功体験を実感している。今後はTF実施ポスターの掲示や好事例の共有などTF実施環境を整えることで、治療への貢献だけでなくやりがいや自己肯定感が高まる好循環に繋がると考える。