第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 6, 2022 2:10 PM - 3:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-044-B] 腎機能に関する疑義照会から得られるリスク評価の報告と「かかりつけ」の有効性

町屋敷 修平1, 木南 元気1, 島 優馬1, 中西 正人1, 丸田 勇樹1,2 (1.(株)フロンティア フロンティア薬局日立店, 2.国際医療福祉大学大学院 薬学研究科 医療・生命薬学専攻)

【目的】当薬局では適切なリスク評価と必要十分な薬学的フォローの取り組みを強化している。しかしリスク評価は薬剤師のスキルの差によって左右される懸念が存在することから、本研究ではこのスキルの差を軽減するためにリスク評価を探索する。
【方法】2022 年1 月1 日から3 月31 日に来局した患者の処方箋に記載された推算糸球体濾過値から慢性腎臓病グレード3 以上に分類される1,039 名を対象に、過去2 年間の薬剤服用歴管理記録から「腎機能に関わる疑義照会の有無」および「かかりつけ薬剤師の有無」に群分けして患者背景を調査した。本研究は茨城県薬剤師会倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:202103 )。
【結果】「腎機能に関する疑義照会を要した患者」59 人の平均年齢は75.1 ±12.6 歳、平均来局回数は21.7 ±13.9 回、平均薬剤数は8.7 ±3.7 、平均受診科数1.7 ±0.9 であり、「腎機能に関する疑義照会を要さない患者」80 人では、それぞれ74.5 ±10.4 歳、14.5 ±9.8 、6.2 ±3.7 、1.5 ±0.7 であった。「かかりつけ薬剤師を持つ患者」162 人の平均年齢は75.3 ±10.0 歳、平均来局回数は23.5 ±13.8 、平均薬剤数は8.3±3.7 、平均受診科数は1.7±0.8 であり、「かかりつけ薬剤師を持たない患者」877 人では、それぞれ74.5±10.6 歳、13.3 ±8.5 、6.0±3.6 、1.5 ±0.7 であった。「かかりつけ薬剤師を持つ患者」で疑義照会を実施したのは162 名のうち22 名(13.5 %)、「かかりつけ薬剤師を持たない患者」では877 名のうち34 名(3.9 %)であった。
【考察】「腎機能に関する疑義照会を要した患者」と「かかりつけ薬剤師を持つ患者」の患者背景に類似点を認めた。リスク評価のポイントとして「頻回の受診」「複数科受診」「多剤併用」が挙げられた。これらのリスク評価のポイントを総合的に把握し継続して対応するために「かかりつけ」という患者と薬剤師の関係性の構築が有効であると考えた。