第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-045-C] 薬剤一元管理とトレーシングレポートにより偽アルドステロン症へ早期対応できた1症例

都 和彦 ((株)フロンティア フロンティア薬局国富店)

【目的】保険薬局の地域連携の取り組みの一つとして薬剤一元管理の利点とトレーシングレポート(TR)による処方医への情報提供が挙げられる。TRを有効に活用することで、患者の副作用へ早期に対応することが出来た1症例を報告する。
【症例】同一医療機関の内科、脳神経外科を受診している90歳代の女性。内科で11種類、脳神経外科で2種類を定期処方として9カ月継続し病状は安定的に経過していた。
DayXに内科と脳神経外科を受診し血圧140/49であることを投薬時に聴取した。
DayX+90にも両科を受診された。来局時に血圧173/57の血圧上昇と足のむくみがあり、次回内科受診時に今回の血液検査の結果を確認することを聴取した。薬歴の解析により血圧の上昇とむくみは脳神経外科の処方薬である抑肝散の偽アルドステロン症の可能性を考慮し、薬剤情報と共に血液検査の結果を早期に確認するようにTRで内科と脳神経外科の処方医へ依頼した。
DayX+104に、TRを受けて脳神経外科の処方医が直接患者へ連絡を取り、K値は4.0と正常範囲だが偽アルドステロン症の可能性を考え抑肝散の服用中止の指示が出され、TRが功を奏したことを確認した。
DayX+118に服薬フォローを実施し血圧は140/51へ低下し、むくみも軽減していることを確認し内科と脳神経外科の処方医へTRで報告した。
【考察】本症例ではDayX+90において脳神経外科、内科の順に受診したことを患者から聴取し、血圧上昇及びむくみの情報が脳神経外科へ伝えられていないことを確認した。保険薬局薬剤師が薬物治療上の要注意情報をTRで主治医に連絡し、次回の受診を待たずに処方医が服用の中止を判断することが出来たことで有害事象からの早期回復に寄与できたと考える。今後も薬剤一元管理による薬歴の解析とTRを活用し地域医療の中で情報共有を保険薬局薬剤師が率先して行うことで有害事象に早期対応することが出来ると考える。