第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-051-C] 保険薬局における糖尿病患者へのインスリン手技確認に関する課題の抽出

古賀 友香里1, 緒方 加奈子1, 西村 佳子2, 木原 零3 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局 北帯山店, 2.総合メディカル(株)学術情報部, 3.総合メディカル(株))

【目的】インスリン自己注射に関する手技の指導は、針の装着、空打ち、注入後の待機など注意すべき項目が多くあるが、詳細に手技を確認する機会が病院・薬局双方で限られている。そこで、保険薬局でデモ用注射器を用いて詳細に手技を確認する取り組みを行い、今まで十分に確認できていなかった薬剤師による手技確認での問題点について検討した。なお、確認項目については演者等が参加するInPCTプロジェクトの資材を参考とした。
【方法】2021年3月~8月、そうごう薬局11店舗で同意を得たインスリン使用患者を対象に、デモ用注射器を用いて薬剤師が手技を実演しながら確認を行った。調査項目は糖尿病歴・インスリン使用歴等の基本情報とあわせて、空打ちの方法、注入後の待機時間、針交換の頻度、注射器保管状況等13項目とした。
【結果】期間中インスリン使用患者143名に声掛けし、手技確認に同意を得られたのは60代以上の60名であった。全員糖尿病歴5年以上、約7割がインスリン使用歴5年以上の患者であった。13項目全ての手技が適切であった患者は5名で、全員インスリン使用歴5年未満であった。不適切な項目で多かったのは、未開封のインスリンを使用開始の際に室温にもどしていない(37名)、注入後待機時間が10秒より短い(15名)、ゴム栓・注射部位双方を消毒していない(14名)、注射針を上に向けての空気抜きが出来ていない(13名)であった。その他、使用済み針を家庭ごみに廃棄したことのある患者が2名いることがわかった。
【考察】今回の手技確認は13項目と確認に時間を要するため同意頂けた患者は少なかったが、聴取できた60名からは具体的な問題点を把握することができた。このことから、薬局でのインスリン手技確認は、実施有無だけを口頭質問するだけではなく、デモ用注射器を用いるなど具体的に確認することとし、薬局での定期的な手技確認についても患者に継続して理解を求める必要があると考察した。