第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-053-B] テレフォンフォローアップにより有害事象の早期発見につながった事例紹介

宮 麗路 (クオール(株)クオール薬局郡山2号店)

【はじめに】薬機法改正に伴い、調剤後のフォローアップが義務化された。今回、抗がん剤治療中の患者に調剤後の電話によるフォローアップ(以下、TF)を実施し、副作用の早期発見につながった事例があるので報告する。【症例概要】40代女性、S状結腸がん治療によりビニメチニブ錠15mg、エンコラフェニブカプセル75mgが処方。おくすり手帳および患者からの聞き取りにより、セツキシマブ注射液がはじめて開始されたことを把握し、副作用モニタリングのため、3日後にフォローアップを実施した。フォローアップ時に有害事象共通用語規準でGrade2の悪心、嘔吐およびGrade1の眼障害を確認したため、処方医へ情報提供および有害事象に対する支持療法としてドンペリドン錠の追加提案をした。投与開始より3日目であり、徐々に嘔吐の改善があったことから休薬はせず次回受診時に制吐剤の処方を検討する旨、処方医より指示があったことを患者へ連絡した。後日来局時、ドンペリドン錠の追加があり、眼障害については眼科医へ受診し、継続可能の指示があった。その後嘔吐は改善し、Grade1程度の悪心はあったが、内服を継続することができた。また、嘔吐による今後の治療への不安もドンペリドン錠追加により、安心できたとの声をいただけた。【考察】TF時に得た患者情報を処方医に共有および処方提案したことで支持療法が追加され、有害事象の悪化を食い止めることができ、患者のQOL向上に寄与したと考えられる。TFを実施しなかった場合、悪心嘔吐の持続により服薬アドヒアランス(以下、ADと記載)の低下、またAD低下に伴い適切な治療効果が得られなかった可能性がある。抗がん剤治療は高頻度に副作用が起こるため、薬剤師による調剤後のフォローアップは、有用だと考えられる。