第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-055-A] 硝酸イソソルビドテープの適正使用に向けて薬局薬剤師が果たすべき役割

八木 沙織1,2, 小竹 弘道1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 桑園駅前店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】狭心症発作予防に使用される硝酸イソソルビド(以下、ISDN)テープの適正使用にむけて薬局薬剤師が果たすべき役割を考察するために、薬局薬剤師がISDNテープの適正使用に貢献した事例を収集、分析した。
【方法】2021年11月に、当社が北海道で運営する保険薬局105店舗の薬剤師339名から、ISDNテープの適正使用への貢献事例を社内イントラネットで収集した。また、2019年1月~2021年12月にISDNテープの処方を応需した当社保険薬局706店舗の匿名化レセプトデータを用いて、ISDNテープと外用消炎鎮痛剤の処方動向を解析した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-124)。
【結果】患者がISDNテープを消炎鎮痛剤と勘違いしたことで、疼痛部(胸部)に常に貼付して皮膚障害が発生したり、胸痛時のみに貼付していた事例が確認された。これらの事例は、薬局薬剤師が「胸部貼付に限定しないこと」「継続使用すること」を再指導し、改善した。また、全処方箋枚数に対するISDNテープの処方割合は、後期高齢者(0.83%)、前期高齢者(0.31%)、非高齢者(0.10%)の順に高く、ISDNテープ記載処方箋枚数に対する外用消炎鎮痛剤との併用処方割合も同傾向であった(23.4%、14.9%、10.8%)。
【考察】今回の事例では、狭心症発作に伴う「胸部の痛み」を打ち身やねんざなどに伴う「侵害受容性疼痛」と勘違いし、ISDNテープを消炎鎮痛剤と同様に使用したと考えられる。したがって、ISDNテープの服薬指導では「貼付部位」「継続使用」などの用法説明にとどまらず、「貼付する意味」をしっかりと説明する必要があり、「作用機序等を患者にわかりやすい言葉で伝える」などの工夫と配慮が必要と考えられる。今回のような事例は、ISDNテープと外用消炎鎮痛剤の併用時に生じやすい事が容易に想像できるため、これらの併用率が高くなる後期高齢者では特に注意が必要と考える。