第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-072-C] 担当薬剤師と喫煙記録を共有することによる患者のピグマリオン効果

栗木 大成 (クオール(株))

【はじめに】喫煙は健康に悪影響を及ぼすことを理解していても禁煙することは容易ではない。今回、薬剤師のアプローチにより喫煙本数が減少し、服用薬剤数の減少に至った事例があるので報告する。【症例】40代女性、服用薬剤は10種、禁煙意思はあるが家族に喫煙者がいるのに加えて、仕事のストレスにより喫煙を続けている。ブリンクマン指数は400以上で、継続的な咳により仕事へ影響が出ている。服薬指導時のコミュニケーションは良好かつ禁煙意思はあるが、なかなか禁煙に至らないため、喫煙数を徐々に減らす取り組みが効果的と感じた。喫煙数の減少にむけて、日々の喫煙数を視覚化するために日々の喫煙数を記録するよう指導し、「週に1本減らす」という目標を患者と共に立てた。毎回服薬指導時に同じ薬剤師が記録を確認した。上記のアプローチを実施したところ、半年で1日の喫煙本数が20本から12本に、また継続的な咳症状も緩和したため、医療機関へ書面にて情報提供を行い、定期的に服用していたチペピジンとトラネキサム酸が減薬となった。【考察】この症例は、患者個々に無理のない目標を共に設定し、毎回同じ薬剤師が服薬指導時に結果確認を行うことで、ピグマリオン効果を発揮したと考えられる。喫煙者への禁煙介入ではマニュアル通りの対応ではなく個々に応じた目標とそれを支える役割が重要であると考える。患者の目標を聞くには患者との関係性の構築が重要であり、同じ薬剤師が継続的に対応することの重要性にあらためて気づくことができた。