第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-073-A] 化学療法進捗書を持参したがん患者への対応状況について

浅田 博美, 橋本 小織, 網屋 尋士, 藤井 貴子 (トライアドウエスト(株)かもめ薬局日赤病院店)

【目的】地域の姫路赤十字病院において、薬剤部がん化学療法連携セミナーが定期開催され、患者が持参した化学療法進捗書により治療経過やレジメンの共有が可能となった。当薬局に来局した化学療法進捗書持参患者の情報提供書作成状況の振り返り調査を行い、今後の服薬指導とテレフォンフォローのあり方について考察する。
【方法】対象期間2020年9月1日~2022年5月31日に、当薬局に来局した化学療法進捗書を持参した全患者について、患者背景(年齢、性別、がん種別、受診科)を明らかにするとともに、情報提供書の作成有無とテレフォンフォローに対する患者の反応を調査する。本調査のオプトアウトについては弊社ホームページと薬局店舗に掲載している。
【結果】対象患者は31名であり、対象期間内に35枚の化学療法進捗書が持参された。化学療法の副作用好発時期を見計らいテレフォンフォローを実施し、23名27枚(77.1%)の情報提供書を作成していた。うち処方医の対応が必要なケースは9枚(33.3%)、更にそのうちの4枚(44.4%)は処方提案をしたケースであった。患者の反応として、服用状況把握者23名、電話不通者4名、電話不要者4名であった。状況把握者の95.7%は好意的であり、心理的不安の軽減につながった。
【考察】2020年度の調剤報酬改定において、がん治療の薬薬連携が特定薬剤管理指導加算2として新設された。化学療法進捗書は、処方医の意図や治療方針が理解でき、がん患者の副作用確認や有害事象に対するセルフケアの指導ができるステップとなった。特に、高齢者や日本語が不得意の外国人患者には有用である。また、適時なテレフォンフォローにより処方提案が行われたケースがあり、薬局においても有害事象の発現期の予測や対処法について知見を深める必要性を認識した。今後、がん患者に対し、生活面での工夫などのアドバイスも含めた服薬指導とテレフォンフォローアップに努めていく。