第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 6, 2022 2:10 PM - 3:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-074-B] プレドニゾロン増量に伴う頭髪脱毛を経験した例

坂口 淳一郎1, 龍田 涼佑2, 多田 貴彦1 (1.(株)永冨調剤薬局, 2.大分大学医学部附属病院薬剤部)

【背景】
プレドニゾロンの副作用として、多毛は今日の治療薬等の三次資料への記載もあり有名だが、逆に脱毛の訴えの報告はあるものの副作用として認められず、見過ごされることが多い。今回、頭髪脱毛を主訴とする副作用報告を経験したことから、低頻度の副作用についても副作用の可能性を考慮すべきと学んだ一例を紹介し、共有したいと考えた。
【症例】
20XX年9月17日皮膚筋炎の自覚症状である腕の痛みや、クレアチニンキナーゼ(以下CPK)896 IU/L、乳酸脱水素酵素(以下LD)349 IU/Lと検査値の悪化を認め、プレドニゾロン9.5mg分1朝食後から30mg分3毎食後へ増量。同年10月29日、自覚症状やCPK 132 IU/L、LD 264 IU/Lと検査値の改善を認め、同日より5mg/月ずつの減量が行われた。増量前、頭髪は豊かであったが、12月には脱毛量が増えたことにより、頭髪の量が減り、注視すると頭皮がやや透けて見える程になる。20XX+1年1月28日ご本人より主治医へ脱毛を訴え。プレドニゾロン20mgから15mg/日への減量と、脱毛に対しフロジン外用薬5%®を処方追加。20XX+1年2月25日受診時には脱毛が減少し、20XX年9月以前のプレドニゾロン増量前と比較し脱毛量は同程度となり、被験者としても一般的な脱毛量と感じられる程度に戻った。皮膚筋炎の自覚症状はプレドニゾロン減量による悪化はなく、CPK 42 IU/L、LD 200 IU/Lと検査値も良好に推移した。
【考察】
独立行政法人医薬品医療機器総合機構で3件、同様の報告があるが因果関係は不明である。今回の症例では、薬剤増量後と脱毛の時期が一致しており、プレドニゾロンの増量に伴う頭髪脱毛の可能性が完全に否定できない。大分大学附属病院薬剤部と今回の症例を情報共有した。今後は、頻度の低い副作用について訴えがあった場合、副作用の報告を調査、検討し、必要であれば根拠とともに早めに医師へのフィードバックに役立てることが、患者の生活の質の改善につながると考えられる。