第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-075-C] GS1照合システム導入後における調剤過誤の発生要因と防止策

田中 美尚 (株式会社アルカ)

【目的】弊社ではこれまでにGS1照合システム(GS1チェッカーLIMITED:以下GS1)導入に対する問題点と有用性について検討し、調剤業務の効率性および正確性の向上に努めてきた。今回は、後続調査としてGS1導入後における調剤過誤の発生要因と防止策について検討した。【方法】これまでに提出された調剤過誤報告書のうち、2021年4月から翌年3月に発生した事例を調査対象とした。なお、対象事例より月別調剤過誤発生件数とGS1使用割合を算出し、得られた結果から1.発生件数の月間推移2.使用下における発生要因3.未使用の背景要因について検討した。【結果】1.調剤過誤の発生は5月~11月に集中し、なかでも7月・9月の発生件数は30件以上と突出していた。一方、繁忙期の12月~2月は、いずれの月においても発生件数が少なかった。2.GS1使用下での発生件数は215件であり、発生要因の内訳は処方入力ミスが30.7%、計数ミスが27.9%、端数・外用予製剤等が10.2%であった。3.GS1未使用の背景要因として、GS1データバー(以下:コード)無しが最も多く、次いで他職員の使用中や繁忙時間帯という理由が挙げられた。【考察】調剤過誤の発生が5月~11月に集中した理由として、新入社員の業務習得時期であることが挙げられる。具体的に5月~9月は調剤・投薬・監査が本格化する時期であり、また進捗状況に2ヶ月程度の差がみられるため当該期間に集中したと考えられる。なお、GS1は処方入力内容と調剤済医薬品のコードによる照合に特化した機器であるため、処方入力システムの設定改良など入力ミスの防止に努めることが重要となる。また、外用予製剤やPTPシートの端数ではコードを読み取れない場合があるため、状況に応じてコードを自作するなど工夫を凝らす必要がある。最後に、本結果を医薬品・医療機器メーカーに情報提供し、調剤過誤防止に向けて医療業界全体に働きかけたい。