第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-076-A] 医薬品の棚配置が業務効率・調剤過誤に及ぼす影響

藤澤 泉美1, 服部 隆之1, 山根 孝太2 (1.(株)ファーマシィ ファーマシィ薬局恵比寿中央, 2.(株)ファーマシィ 薬局3部 関東エリア)

【目的】医薬品の棚配置が取り違えに影響を及ぼすことが複数の先行研究により示されている。同時に医薬品の棚配置は業務の効率に影響を及ぼす可能性がある。医薬品の棚配置には大きく五十音順と薬効順があり、どちらが取り違えの減少や業務効率に有利かは不明である。取り違えの減少や業務効率にどちらの配置が有利かといったことが明らかとなれば、安全性の向上はもとより、業務の効率化により得られた時間を、副作用モニタリングやポリファーマシーの解消など対人業務に再分配することで、さらなる薬局機能の充実をはかることが可能となる。そこで、五十音順と薬効順の二つの医薬品棚配置のどちらが安全性、効率性の面で優れるのかを明らかにするための検討を実施した。
【方法】医薬品の棚配置を2022年2月7日から4月3日の期間は五十音順に、2022年4月4日から5月29日の期間は薬効順とし、それぞれの棚配置におけるピッキング時間、ピッキングミス件数を調査し、各棚配置における処方箋一枚当たりのピッキング時間に差があるかどうかをt検定で、ピッキングミス発生割合に差があるかどうかをフィッシャーの正確確率検定により検討した。
【結果】五十音順の医薬品棚配置でのピッキング時間は85.7秒/枚、薬効順では81.7秒/枚であり、統計学的有意差を認めなかった。また、五十音順での医薬品棚配置でのピッキングミス発生割合は0.20%、薬効順では0.09%であり統計学的有意差を認めなかった。
【考察】五十音順と薬効順の医薬品棚配置の違いによる業務効率、安全性への明らかな違いはないと考えられた。しかしながら、有意差こそ認めなかったものの、薬効順を基準とした五十音順の相対リスクは2.3倍であり、さらなる検討が必要と考える。また、本研究では、医薬品の棚配置以外の因子についての差異は考慮していない。加えて一般化可能性を高めるには、今後複数の薬局で検討が行われる必要があると考える。