第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-077-B] オレキシン受容体拮抗薬と他睡眠薬の併用処方において薬局薬剤師が果たすべき役割

柏原 朋迪1, 岡田 将宜1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳考2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 南相馬東店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】添付文書に記載されるように、オレキシン受容体拮抗薬(ORAs)と他睡眠薬の併用は、有効性及び安全性が確立されていない。そこで、当社グループの保険薬局で経験したORAsと他睡眠薬の併用例を分析するとともに、ORAsの処方動向と他睡眠薬との併用状況を調査し、ORAsの適正使用に向けて薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【方法】当社グループの薬局薬剤師が報告した薬局プレアボイドから、ORAsと他睡眠薬の併用に関する事例を抽出した。また、2020年10月から2021年9月に当社グループの保険薬局895店舗が応需した処方箋について、匿名化レセプトデータを用いてORAsの処方動向と他睡眠薬との併用状況を調査した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0127)。
【結果】以下の事例が抽出できた。スボレキサント(SUV)とエスゾピクロンを併用していた60歳代男性患者から中途覚醒の訴えがあり、処方医から薬局薬剤師に「SUVを以前服用していたトリアゾラム(TRZ)へ変更しても問題ないか」と相談があった。薬局薬剤師はTRZへの変薬に伴う筋弛緩作用等のリスクを鑑み、同じORAs で半減期がSUV(10時間)よりも長いレンボキサント(LEM、31時間)への変更を提案した。その結果、中途覚醒の回数が減少した。また、全睡眠薬の処方回数に占めるORAsの割合は調査期間を通じて12.4%から15.8%に増加し、ORAs処方の41.3%で他睡眠薬と併用されていた。
【考察】本事例では、ORAsと他睡眠薬の併用処方において、薬局薬剤師の薬学的判断に基づく提案が、安全かつ効果的な治療を実現したと考えられる。ORAs処方は増加傾向であり、その半数近くが他睡眠薬との併用である状況を踏まえて、有効性や安全性に関するエビデンスが少ないORAsと他睡眠薬の併用処方においては、薬局薬剤師は患者の状況をしっかり把握し、薬物動態などを含めた薬学的判断に基づいて安全な治療継続に貢献する必要があると考える。