第16回日本薬局学会学術総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-081-C] 抗がん剤治療中の患者においてアムロジピンによる副作用と疑われる症状の訴えがマスキングされた1例

山本 千尋 ((株)メディカル一光 フラワー薬局左京店)


【背景・目的】昨今、抗がん剤治療における薬局薬剤師の役割は急激に変化している。外来での抗がん剤治療が主流となり、治療法や薬剤が多様化する中、薬剤師は適切な副作用マネジメントの一翼を担っている。今回、治療効果を期待するために、ある程度の副作用は我慢し治療を継続しなければならないという患者心理によって、併用薬による副作用症状の訴えがマスキングされていた事例を報告する。
【症例】80歳代男性。A病院より高血圧症にてアムロジピンベシル酸塩錠(アムロジピン)2.5 mgが処方され内服開始。その3週間前にはB病院より非小細胞肺がん術後補助化学療法にてテガフール(腸溶)・ウラシル配合顆粒剤(UFT-E)を開始していた。アムロジピン開始後血圧は120-130/60-65 mmHgでコントロールしていた。
アムロジピン開始から8ヶ月経過後、当薬局来局時に患者よりUFT-E開始数週間後から圧痕性両下肢浮腫発現の訴えがあった。患者はUFT-Eによるものと許容し、両病院医師には伝えずにいた。患者の浮腫は全身性であり、心不全や腎・肝疾患、がん転移の指摘はなく、食習慣に変化がないこと、浮腫発現時期がアムロジピン開始時期と重なることよりアムロジピンによる薬剤性浮腫を疑った。すぐにA病院の医師に報告し、再診を依頼。併せて、他剤への変更を提案した。再診後、テルミサルタン錠40 mgへ薬剤変更となった。1週間後にフォローアップを行ったところ、両下肢浮腫は改善傾向、血圧コントロールも良好であることを確認し、トレーシングレポートにて医師へ報告を行った。
【考察】抗がん剤治療を受ける患者は、治療意欲の高さから忍耐強い傾向にあると思われる。本症例では副作用の発覚までに時間を要したが、その背景には多少の症状は許容しても治療を継続したい患者心理があったと考えられる。患者への細やかなフォローの必要性を感じると共に、適切な副作用マネジメントや医療連携の重要性を再認識した。