第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-091-A] 投与量計算ツールとしてのノモグラムの計算精度・速度・エラー率の検討

岩佐 洋之1, 松井 洸2, 阿部 真也2, 山口 浩2, 吉町 昌子2, 立石 大介2, 野村 和彦2 (1.(株)ツルハ, 2.(株)ツルハホールディングス)

【目的】第15回日本薬局学会において、腎障害患者への薬局薬剤師の対応状況について発表を行った中で、計算を支援するツールの要望が高いことがわかった。計算にはコンピュータを用いることが一般的ではあるが、災害時や在宅訪問時といった状況を想定し、紙とペンのみで計算を行えるノモグラムにも利用価値があるのではないかと考えた。ノモグラムとは紙に線を引いて計算する計算図表であり、それ故にGFR推算、投与量推算のような重要度の高い計算に用いた場合、計算結果の誤差や使用方法の分かり難さに由来するインシデントの可能性が考えられる事、手計算の方が速ければ利用価値が無い事から、本研究では計算精度・計算速度及びエラー率(明らかな外れ値、使用方法の誤りの発生率)について検討する。
【方法】フリーのノモグラム作成ソフト「PyNomo」を用いて、「メトホルミン塩酸塩において、個別GFR及び腎機能正常者における投与量から、Giusty-Hayton法を用いて腎機能障害時の適正な投与量を算出するノモグラム」を作成し、(株)ツルハの調剤店舗275店舗に所属する薬剤師を対象とし、2問の例題を出題し回答を収集した。調査期間は2020年1月27日から同年2月8日とし、アンケート回答はGoogleFormsで行い、Microsoft Excel2013で集計・分析を行った。またプロットしたノモグラムの用紙を各店より回収した。
【結果】217店舗518名の回答があり、回答率は57.87%であった。(1) 2例題における計算結果の標準偏差は21.33/14.82であった。(2)2例題の計算にかかった時間の平均は3分であった。(3)エラー率は4%であった。
【考察】(1)計算精度について、標準偏差の値は非常に小さく、正確な値に近い数値を算出することが可能であった。(2)計算速度について、実際に高速な計算が可能であった。(3)96%の方が正しく使えたことから使用方法は簡便であると言える一方、4%のエラー率が他の方法と比べてどうか検証する必要があると考察した。