第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-096-C] 腎排泄型薬剤の処方実態の把握と薬物治療の適正化に向けた取組み

石坂 若葉1, 畠山 暢之1, 萬代 尚之1, 横田 郁子1, 信田 量平1, 河角 亮1, 近藤 悠希2, 石塚 洋一2, 入江 徹美3, 吉田 俊之4, 柴山 優人4, 高橋 理紗子4, 山本 宏之4, 長井 麻希江4, 金本 郁男4 (1.藤の木薬局, 2.熊本大学大学院生命科学研究部臨床薬理学分野, 3.熊本大学大学院生命科学研究部グローバル天然物科学研究センター, 4.(株)アモール)

【目的】藤の木薬局における腎排泄型薬剤(REDs)の処方実態を明らかにする。また、REDs処方監査を支援するアプリ(compRete®)の導入によりREDsの適正使用が推進されるかどうかを把握・分析し、REDsのより安全で有効な薬物治療に繋げることを目的とする。
【方法】2021年9月よりcompRete®の稼働開始。2021年9月から2022年2月までの患者情報(年齢、性別、腎機能検査値)、処方箋情報(医療機関名、薬剤名・規格、用法・用量)、服薬指導記録等の情報をもとに以下の集計を行った。1.医療機関別の患者数、2.腎機能検査値の記録および腎機能確認状況、3.全患者の年齢構成とREDs処方患者の年齢構成、4.REDs処方患者および非REDs処方患者におけるCKD重症度分類、5.処方頻度が高いREDsを処方された患者の腎機能検査値記録状況、6.REDsの過量処方件数、7.プレアボイド、フォローアップ、トレーシングレポートの件数と内容
【結果】患者の4.6人に1人がREDsを処方され、そのうちの71.8%が60歳以上だった。REDs処方がある患者とない患者のCKD重症度の分布は近似していた。REDs処方患者では、腎機能検査値の記録割合が本研究開始月の32.9%から6か月後の37.7%に上昇した。さらに、腎機能確認を行った患者を合せると50.1%になった。REDsの適正使用に係るトレーシングレポート、フォローアップ、プレアボイドの件数は、本取組み後に増加した。REDsの過量投与は認められたが、それによる副作用の発現は1件も確認されなかった。
【考察】腎機能検査値の記録と腎機能確認の割合が増加した上、REDsによる副作用発現が確認されなかったのは、compRete®の導入と運用フローの作成、腎機能評価計算式の選択アルゴリズムの作成、および薬局内勉強会が大きく寄与したと考えられる。フォローアップ数を増やすにはさらなる対策が必要である。