第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-100-A] 薬剤起因性Collagenous colitisとみられる症状の改善に薬剤師が寄与した一例

田中 智恵1, 秋元 義幸1, 玉井 典子2, 武藏 汐里2 (1.(株)友愛メディカル 友愛薬局松戸センター店, 2.(株)友愛メディカル)

【目的】Collagenous colitis(CC)は非血性の慢性水様性下痢を主症状とする疾患である。近年報告が増えており、本邦では大半がPPIやNSAIDsなどの薬剤起因性と考えられている。薬剤師の関与により薬剤起因性CCとみられる症状が改善に至った事例について報告する。
【事例】70代女性、グループホームに入居中。入居以前より多数の定期薬を服薬していたが、入居以降、消化器症状については特段問題なく服薬継続していた。20XX年Y月末、1日に複数回繰り返す水様性下痢症状が発現。まず酸化マグネシウムが減量・中止となり、その後、急性胃腸炎が疑われリパクレオン®・アドソルビン®の追加等処方変更が順次行われたが改善がみられなかった。翌月中旬、入居以前よりランソプラゾール(LPZ)15mg/日を継続していることから薬剤起因性CCの可能性を疑い、主治医へ情報提供を行うとともに処方変更を文書にて提言した。
【経過】翌往診時にLPZ15mgからファモチジンD錠20mg/日に変更となった。1週後には下痢は改善がみられ始め、発症2か月後には症状は消失。その後、酸化マグネシウムやアドソルビン®は一部継続しているものの、現在まで症状は安定している。
【考察】LPZはCCの代表的な原因薬剤であり、本症例もLPZによるCCであった可能性が高い。本患者はセレコキシブ200mg/日も併用しており、NSAIDsの併用でさらにリスクが高かったと考えられる。今回は施設介護者との連携により患者の状態を詳細に把握できており、より早期に介入ができたと考える。現在PPIやNSAIDsは多くの診療科で処方されており、今後さらに薬剤起因性CCは増加すると予想される。薬剤起因性CCは大部分が原因薬剤の中止で軽快することが確認されている。患者の症状を把握し、慢性下痢症状がある場合は薬剤起因性CCの可能性を考慮した情報提供を行うことで患者の苦痛低減に貢献できると考える。