第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-103-A] レンバチニブ服用患者に対する副作用チェックシートを活用したフォローアップ時の受診勧奨の事例について

馬渡 つかさ1, 牧原 直1, 中原 玲子1, 天本 智香子1, 井寺 祥子1, 富樫 奈美2, 緒方 詠一3, 小野 悠介4 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局 久留米医大前店, 2.総合メディカル(株)そうごう薬局 南仙台店, 3.総合メディカル(株)コンサルティング推進部福岡駐在, 4.総合メディカル(株))

【はじめに】
2018年からそうごう薬局 久留米医大前店は久留米大学病院と近隣保険薬局とで連携し、レンバチニブ服用患者のフォローアップ強化のために副作用チェックシート(以下シート)を共同作成し、現在も運用している。運用当初のシートは、高血圧や食欲不振など一部の副作用で、重症度を判別する基準が曖昧であり、緊急性のある対応を行うべきか迷う場面があった。そこで今回、シートを共同改良し、受診勧奨に至った事例を報告する。
【取り組みの概要】
シートの項目を再検証し、CTCAE v5.0によるGrade3の評価基準に準じて受診勧奨すべき高血圧・食欲不振の基準を変更した。血圧では「収縮期血圧140mmHgもしくは拡張期血圧90mmHg」から「収縮期血圧160mmHgもしくは拡張期血圧90mmHg」に変更、食欲不振では有無のみの項目からGrade分類に応じたチェック項目を新規に作成した。改良後のシートを運用した2020年7月から2021年6月の期間に該当したレンバチニブ服用患者10名のうち、フォローアップで高血圧を確認した患者は3名、食欲不振は5名であった。高血圧で160mmHg以上かつ90mmHg以上の1名に対しては受診勧奨を行い、即時受診により降圧剤が追加となった。また食欲不振Grade3の1名に対しても受診勧奨の結果、即時受診にてレンバチニブ休薬、末梢静脈栄養の実施となった。その後2例とも副作用の改善を認め、治療継続へと繋がった。
【考察】
レンバチニブによる高血圧と食欲不振の2項目に関して、基準を明確としたことで、減薬・休薬に該当する副作用の判別を標準的に行うことが可能となり、適切な副作用対応が可能となったと推察する。また今回の調査では、Grade3相当の副作用を確認した場合の受診勧奨の重要性を確認できた。本シートのように、抗がん剤のフォローアップツールを作成する場合には、重症度判別の基準を明確にすることが重要であると考察する。