第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-106-A] ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物の処方状況調査

高山 純一郎, 宮川 薫, 福島 智史, 溝上 雅也, 加藤 菜摘子, 富樫 教子, 岡崎 智行, 畑下 仁志, 畠山 規明 (たんぽぽ薬局 (株))


【目的】血中カリウム濃度のコントロールは不整脈や心停止の予防のため重要である。患者に腎機能低下傾向が見られる場合、カリウム(以下K)の体外排出能力の低下により血中K濃度の管理が重要となる。様々な高K血症改善剤が使用されている中、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(以下ZS)の処方状況を調査し、適正使用につなげることを目的とする。
【方法】T県内のたんぽぽ薬局で2020年5月から2年間、ZSの処方があった患者を対象に、同薬剤の処方内容及び経過に応じた処方変更の有無等の調査を行った。
【結果】期間中にZSが処方された患者は、45名(透析患者12名、非透析患者33名)であった。透析患者では、8名が非透析日の投与、4名が連日投与であった。透析患者12名のうち3名(25%)は血中K濃度が改善し処方終了になった。うち1名は2週間、2名は6ヶ月服用後に終了。終了後の経過は、1名が4か月後に再開したが、数値上昇による単発での使用であり、血中K濃度の改善により再び終了した。非透析患者のうち継続処方は32名、1名は1日のみの処方であった。32名中、服用終了となったのは13名(40.6%)で、最長5週間の服用であった。処方の切り替えは4名で、処方変更後にZSへ処方を戻す事例は無かった。血中K濃度は検査値の確認や聞き取りによって行った。また、副作用による中止はなかった。
【考察】非透析患者の4割が短期間で数値改善により服用を終了しており、高い効果が示唆される。また、他剤へ処方変更後も血中K濃度の上昇は見られず、状態が安定している事例もある事から、数値改善後は漫然と使用せず、中止又は他剤への処方変更を検討・提案することも重要である。本剤は他の高K血症改善剤に比べ薬価が高いことから、投与期間を必要最小限にするために、薬剤師が血中K濃度の確認を行い減薬の提案をすることで、医療費削減に貢献出来ると考える。