第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 6, 2022 2:10 PM - 3:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-110-B] 直接経口抗凝固薬(DOAC)の適正使用のためのツールの開発と出血リスクの評価

小平 久正2,5, 小平 陽子1, 近藤 優子1, 齋藤 まき1, 小泉 知尋1, 藤井 美汐1, 大芦 朋子3, 松永 幸江4, 吉山 友二5 (1.(株)トモズ 関東労災病院前店, 2.(株)トモズ 大倉山店, 3.(株)トモズ ラゾーナ川崎店, 4.(株)トモズ 薬剤部, 5.北里大学薬学部 臨床薬学研究・教育センター地域医療薬学)

【目的】
DOACは年齢、体重、腎機能など多くの用量調節因子が存在し、減量基準が煩雑で投与量設定には注意が必要である。また、出血リスクの評価は重要であり、特に消化管出血はワルファリンより頻度が高いとの報告もある。本研究の目的はアンケート調査によるDOAC調剤の現状把握と適正使用のためのツールを検討することである。
【方法】
アンケート調査:2022年3月24日~3月29日に当社調剤店舗の薬剤師を対象にDOAC調剤の現状ついて調査し、450名から回答を得た。使用したツール:RMP資材の投与前チェックシートをパウチ加工した。お薬手帳の表紙に服用中のDOACを表示する「血液サラサラシール(血のシール)」と血便の色調変化をチェックするための「スツールカラースケール(SCスケール)」を独自に作成した。薬歴調査:2022年3月1日~6月10日までに、当薬局でDOACが処方された患者を抽出し、出血リスクをHAS-BLEDスコア(HBスコア)で評価した。
【結果】
アンケート調査:減量基準の確認は添付文書が最も多く(80%)、RMP資材の活用は少なかった。特に注意している項目では出血(34%)、腎機能(25%)が多く、ツールの使用は「特にない」が88%であった。DOAC適正使用に向けた取り組み:減量基準確認のためRMP資材を活用した。投薬時に出血リスクを説明し、血のシールとSCスケールは患者同意の上で使用した。薬歴調査:DOAC処方箋の応需枚数は103枚でHBスコア3点以上の高リスク患者は5名であった。
【考察】
RMP資材の投薬前チェックシートは減量基準の確認に有用と考える。血のシールは地域医療における多職種連携ツールとして、SCスケールは消化管出血の早期発見ツールとして有用と考えられた。HBスコアを薬歴で管理・共有することで出血リスクの高い患者のフォローアップに活用できると思われた。