第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-115-A] オレキシン受容体拮抗薬の相互作用に関する薬局プレアボイドから考察した薬局薬剤師が果たすべき役割

執行 真莉奈1, 武森 公克1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ オレンジ薬局 西宮店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】現在上市されているオレキシン受容体拮抗薬(以下、ORAs)は、主にCYP3Aで代謝されるため、CYP3A阻害作用を有する薬剤との併用でORAsの作用増強による傾眠等の副作用の誘発が懸念される。そこで、CYP3A阻害作用を有する薬剤とORAsの相互作用に関する薬局プレアボイドを分析し、有害事象回避に向けて薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【方法】当社グループ保険薬局の薬局薬剤師が2017年1月から2022年3月に報告した薬局プレアボイド116,194件から、CYP3A阻害作用を有する薬剤とORAsの相互作用に関する代表例を抽出した(アイングループ医療研究倫理審査委員会の承認番号:AHD-0135)。
【結果】以下の代表例が抽出できた。(1)レンボレキサント(以下、LEM)2.5mg服用中の60歳代男性患者に、別の耳鼻科からCYP3A阻害作用をもつクラリスロマイシン(以下、CAM)200mgが処方された。患者から薬局薬剤師に「CAM服用開始後から日中の眠気が強い」との訴えがあり、LEMの作用増強が懸念された。薬局薬剤師による受診勧奨の結果、患者は当日中に耳鼻科を受診し、CAMがセフポドキシムプロキセチル100mgに変更された。その後、日中の眠気は改善された。(2)15種類の薬剤を服用中の80歳代女性患者に、同一医療機関からスボレキサント(以下、SUV)15mgとCYP3A阻害作用を有するベラパミル40mgが同時処方された。SUVの作用増強が懸念されたため、薬局薬剤師は疑義照会にて処方医に減量を提案し、SUVが10mgに変更された。
【考察】本事例から、相互作用によるORAsの有害事象の回避にむけて、別医療機関処方だけでなく、多剤併用時の同一医療機関同時処方にも注意が必要であることが示唆された。したがって、薬局薬剤師はかかりつけ機能を発揮して服薬一元的管理を進めるとともに、多剤併用時は相互作用に注意しつつ、処方カスケードの有無等を確認してポリファーマシー解決に向けて取り組むことが必要と考える。