第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-124-A] インスリン製剤を適切に使用できるようサポートし認知症進行のリスクとなる高血糖状態を改善した事例

宮本 育恵, 清水 祐己子, 清塚 千夏 (クラフト(株))

【目的】高血糖と認知症進行は関連があるとの報告がある。他職種の協力によりインスリン製剤を確実に使用することで高血糖状態が改善をした。また、認知症進行のリスクがある社会からの孤立に対し、見守り体制を構築した事例について報告する。
【事例紹介】80才代男性、アルツハイマー型認知症、2型糖尿病、狭心症、高血圧、脂質異常症、肝細胞がん、要介護 1。介護していた家族の施設入居により独居となる。服薬指導時の患者の発言から、服薬コンプライアンスの低下によるインスリン製剤を含めた残薬が多くあることが確認された。複数医療機関より投薬を受けており、外来服薬支援により必要な薬剤の整理を実施した。
週1回投与の持続性 GLP-1 受容体作動薬トルリシティ皮下注0.75mgアテオスを使用していたが、記憶力低下からアドヒアランス悪化がみられた。インスリン製剤の投与手技は問題ないため、訪問看護師に介入を依頼し、自己注射を継続していくこととした。また、外出の機会を増やすため、在宅訪問ではなく薬局へ週1回来局するよう促し、服薬状況、生活面において見守ることとした。約 8 ヶ月間でヘモグロビン A1cは 11.3%→6.9%、内服 11 種類から 9 種類に減薬、うち 2 種類は減量となった。
【考察】認知症の支援において、本人の意思決定支援は基本原則である。インスリン製剤の自己注射を継続することは、自尊心を尊重し、かつ高血糖による認知機能低下のリスク軽減により認知症症状の悪化の回避に有効であったと考えられる。独居の場合、人とのつながりが希薄になることで、うつ症状を発症し、認知症が悪化することが懸念されるが、訪問看護師の訪問や薬局への外出を生活に組み込むことで、薬物療法の継続と共に、非薬物療法を実施することができた。