第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-130-A] 在宅医療における高齢患者の認知機能と生活環境に合わせた薬剤師の介入によりアドヒアランスが改善した症例

南部 美歩1, 大熊 万里子2, 多田 邑3, 高杉 政昇1 (1.クオール(株)クオール薬局下高井戸店, 2.クオール(株) クオール薬局マルイファミリー志木店, 3.クオール(株) クオール薬局南大泉店)

【はじめに】
在宅医療の現場では、アドヒアランス低下に伴い、薬剤師が介入するケースが多い。今回は薬剤師の介入によりアドヒアランスが改善した症例を報告する。
【症例】
80代女性。アルツハイマー型認知症 でサービス付き高齢者向け住宅に入居中。居宅療養管理指導を開始した際に、ピルカウント法で評価した残薬率は37.5%であった。アドヒアランス改善のために、月1回から2回へ訪問回数の増加、一包化した薬品のカレンダーセットの開始、医師へ服用時点を分4から分2へ減らすことを提案した。またカレンダーは患者が見えやすい位置へ変更、患者へ服用後一包化の空袋を廃棄せず、カレンダーへ戻すよう指導、一包化をカレンダー全てにセットしていたが、飲み始めの位置が分かりづらいという問題があったため、カレンダーを余分に1週増やし、飲み始めの位置を明確にするなど、訪問時に問題点を把握し、対応を行った。訪問開始から7か月後の残薬率は10.7%と大きく減少した。
【考察】
本症例では、アドヒアランス低下の原因として、服用時点の多さ・服薬習慣の未定着・患者の理解力低下が考えられた。服用時点の簡素化を処方医に提案することで、飲み忘れの発生頻度を低くすることができる。一方、服薬時点を簡素化したことで、患者自身の服薬の記憶が曖昧になる問題に対しては、服用後の一包化した空袋を廃棄しないよう指導したことで対応できたと考えられる。また、患者のアドヒアランス改善には服薬習慣の意識付けが重要である。今回はカレンダーの位置を目につきやすい場所に変更したことで服薬意識が高まり、飲み忘れが減少したと考えられる。
在宅医療におけるアドヒアランス低下の原因には、認知機能や身体機能の低下に加え生活環境が大きく関係している。生活環境の問題点を把握するためには、医師だけではなくケアマネジャーやヘルパー、訪問看護師など患者に関わる方への聞き取りおよび連携が重要である。