第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-138-C] 軽度~中等度認知症の独居高齢者に対する重複投与の防止および服薬管理に介入した事例

高谷 朋土1, 清塚 千夏2 (1.クラフト(株)さくら薬局 仙台河原町店, 2.クラフト(株))

【目的】家族と疎遠な状態となっている独居の認知症高齢者の薬物治療は、アドヒアランス、残薬、認知機能の変化などの把握が困難である。薬物治療を自己管理できない患者に対し、継続的に支援することを目的に、在宅訪問を実施した。認知機能や生活実態、服薬管理を継続的に支援した症例を報告する。
【事例紹介】70歳代女性、高血圧症、要介護1、独居。主治医より、服薬管理を支援するように指示があり、介入を開始した。記銘力低下と見当識障害により、複数の医療機関を受診し、薬剤の重複が発生した。患者宅を訪問し、処方重複したバルサルタン,アムロジピンべシル酸塩とロスバスタチンカルシウムの残薬整理とドネペジル塩酸塩錠の残薬調整を行った。また、独居を希望しており、継続的に服薬管理するために在宅訪問を地域ケア会議で提案し、在宅訪問を開始した。定期的な訪問で、アドヒアランス、BPSDや中核症状の変化を把握した。認知症治療薬のアドヒアランスの低下、残薬管理能力の低下傾向がみられるため、在宅訪問回数を月2回に増加し、服薬管理を継続している。
【考察】介護者がいない独居の認知症高齢者は、薬剤を重複して服用するリスクがある。薬剤師が服薬管理や薬剤の適正使用の支援に積極的に介入することで、認知症の早期発見、早期対応に繋がる。また、多職種との連携および情報共有を密にすることで、より認知機能やBPSDの変化、アドヒアランスを把握することが可能である。認知症患者の在宅訪問回数の再検討や継続的な服薬管理を行うための情報共有に繋がるため、独居の認知症高齢者の多職種連携体制の構築は重要である。