第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-150-C] 医薬品副作用データベース(JADER)を用いた直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の安全性の検討

生駒 航1, 坂口 正幸1, 大上 直人1, 永田 実沙2, 上田 昌宏3, 安原 智久2 (1.ウエルシア薬局, 2.和歌山県立医科大学, 3.摂南大学)

【目的】直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)はダビガトラン、エドキサバン、リバーロキサバン、アピキサバンの4種類が使用可能である。DOACはトロンビンやXa因子を選択的に阻害することで抗凝固作用を示すため、食事による影響がない、服用後速やかに効果が発現する、頭蓋内出血が少ないといった利点が挙げられ広く臨床使用されるようになってきている。しかし、DOAC間の有効性、安全性の違いについては情報が乏しいのが現状である。そこで、本研究では医薬品副作用データベース(JADER)を用いてDOACの有害事象報告を解析し、日本におけるDOAC間の安全性について検討する。
【方法】JADERより2004年1月~2021年6月に報告された各DOACの有害事象報告データを抽出し、「出」または「血」の文字が含まれる報告から出血があったと判断できる有害事象の報告を数えた。梗塞の有害事象についても、「梗」または「塞」の文字により同様の操作を行った。DOAC間の有害事象関連報告数の比較については報告オッズ比(ROR)を用いて行った。
【結果】該当期間の総報告数は713,893件であった。エドキサバンの出血関連報告数はダビガトラン(ROR:1.70, CI:1.52-1.90)、リバーロキサバン(ROR:1.30, CI:1.18-1.44)、アピキサバン(ROR:1.35, CI:1.23-1.49)比べて多く、エドキサバンの梗塞関連報告数は、ダビガトラン(ROR:0.46, CI:0.38-0.57)、リバーロキサバン(ROR:0.35, CI:0.29-0.42)、アピキサバン(ROR:0.38, CI:032-0.46)比べて少なかった。
【考察】エドキサバンは4種類のDOACの中で最も出血に関するシグナルが検出され、梗塞発症のリスクに関するシグナルが検出されなかった。予防効果を重視するか副作用を回避するかは、患者の状態や希望、不安、生活のデザインによって変わってくる。これらのデータから分かる各DOACの傾向を踏まえた上で、患者に個別最適化した薬剤選択と服薬指導を行う必要がある。