第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-166-A] 管理栄養士による継続的な栄養指導により腎機能の改善に至った症例

赤嶺 沙緒里, 吉澤 美希, 井福 誠, 橋本 高代 ((株)永冨調剤薬局)

【目的】近年、腎臓病による新規透析導入患者数の抑制が課題となっている中、腎臓専門医と一般医の連携が推奨されている。今回、両医療機関が連携しながら薬局管理栄養士の介入により腎機能の改善がみられた一例の報告を行う。
【背景】「このままでは 10 年以内に透析になる」と指摘された患者から栄養相談依頼があった。医療機関での栄養介入があり、すでに CKD 重症度分類ステージ 4 が判明したため、薬局での対応域を超えていると判断して医療機関での包括的栄養指導を勧めた。しかし、画一的な指導に不安があり薬局での相談を切望され、医療機関に状況を報告する事を承諾の上で対応することとなった。
【症例・結果】身長 173cm(BMI23.1kg/m2)、 テルミサルタン 40mg、フェブキソスタット 40mg、ピタバスタチンカルシウム1mgを服用している70歳代の患者に、20XX 年 1 月から 20XX+1 年 3 月まで 10 回の栄養相談に対応した。20XX 年 5 月開始前 eGFR21.73mL/min/1.73 m2、Cr2.40mg/dl、推定塩分摂取量 7.67g/日で、食物栄養関連の知識不足や食行動変容ステージは「関心期」であった。減塩指導を主軸にエネルギー・たんぱく質・カリウムなどの適正量摂取の指導を調理実行者と共に行った結果、薄味にも慣れて食品の選別や管理ができるようになり、具体的な行動目標を設定した指導により行動変容の変化も見られた。20XX+1 年 3 月専門医受診は終了となり継続相談を終了した。終了時 eGFR24.0mL/min/1.73m2、Cr2.18mg/dl、推定塩分摂取量 6.09g/日であった。
【考察】栄養相談を継続的に行った結果、期間中に定期薬の変更はなかったにもかかわらず検査数値の改善がみられ、eGFR 値の下降が緩やかになった事は食事での介入が大きいと考える。行動変容に着目した指導と、賞賛や励ましで患者に寄り添って行った結果、患者との信頼関係が築けたことも要因と考える。