第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-169-A] 保険薬局の管理栄養士による栄養指導の実績

鈴木 千恵1, 新藤 志津子1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 三友堂病院前店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】患者は薬剤師や医師等から一般的な食事指導を受ける機会はあるが、本人の生活環境や食事状況を踏まえた指導を受けることは少ない。管理栄養士は疾患だけでなく個々の生活背景もふまえた栄養指導に精通している。薬局に管理栄養士が在籍する例が少なく、また薬局で栄養相談ができることへの認知も進んでいない。そこで当薬局にて実施した栄養指導事例について調査し、薬局在籍の管理栄養士が関わることによる影響を検討した。
【方法】2019年4月から2021年3月における当薬局での栄養指導実績を集計し、代表的な事例を抽出した。
【結果】2019年4月~2020年3月の指導件数は79件、2020年4月~2021年3月は109件であった。相談内容は、過栄養(糖尿病、腎臓病、高脂血症、高血圧等)、低栄養(食欲不振、貧血等)、摂食嚥下障害、調理に関する事柄等に分類され、うち過栄養に関する内容が6割以上を占めた。2事例を紹介する。(1)タンパク質と塩分摂取過剰の患者に対して、透析予防目的で食事指導を行った。必要タンパク質量を提示し、減塩方法・カリウム除去・食品選択等について指導するとともに薬剤師と連携し服用薬を調整した結果、腎機能悪化を防ぎ(eGFR 18 →21.5)透析導入を延期できた。(2)脂質異常症の患者へ過栄養に対する食事指導を行った。適正エネルギー量の把握、食事記録に対しての助言、採血結果に応じて医師・薬剤師に照会した結果、脂質異常症悪化予防に加え、医師・薬剤師と連携して2種類減薬でき、体重も減少した(67.5→62.8kg)。
【考察】薬剤師による薬学的管理指導に加えて管理栄養士が患者の治療に関わることで、疾患悪化予防だけでなくQOL向上につながる可能性が示唆された。薬局では患者の疾患と食事背景を同時に聴取でき、食事・栄養は専門職である管理栄養士が具体的で根拠に基づいた指導を行うことが望ましく、薬局において管理栄養士が薬剤師と連携することは重要である。