第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-184-A] CR-IR法を活用した保険薬局での取り組み報告

高畑 篤 (クオール株式会社)

【目的】副作用や治療効果の判定において薬物間の相互作用の評価は重要である。大野能之らはシトクロムP450に対する基質薬の寄与率(CR)および阻害薬の阻害率(IR)を用いることで、併用による基質薬のAUC変動を数値化することが出来るCR-IR法(以下、本理論)を提唱している。簡便でかつ有用なツールではあるものの薬局で本理論を導入したという報告は限られている。そこで本理論の活用促進を目的に、当薬局で実際に導入した上で、薬局で活用するにあたっての課題を検討した。【方法】脳神経内科の処方箋応需率が92%であり、月あたりの処方箋応需枚数が約1600枚の薬局で実施した。CRとIRが提示されており報告の必要があると判断した症例に関して、本理論をもとに服薬情報提供書を作成し処方医へ提出した。期間は2022年4月1日から同年5月31日の約2か月実施した。【結果】服薬情報提供書は31件作成され、うち本理論による薬物相互作用に関する提供書は12件であった。情報提供した薬剤については脳神経内科領域に関するものが8件と最も多く、次いでクラリスロマイシンに関する報告が2件であった。【考察】従来の情報提供書は薬物相互作用に関するものは少なく、主に残薬や電話相談の報告であった。そのため12件の薬物相互作用に関する情報提供書が作成されたことは、本理論の有用性を反映するひとつの指標であると考えられる。また当薬局での情報提供は脳神経内科領域に関するものが多かったが、これには応需する主診療科が関係していると思われる。相互作用の組み合わせは非常に多いため、本理論をより簡便に活用にするにあたっては応需する主診療科に関連しうる基質薬と阻害薬をあらかじめ把握しておくことが重要と考える。またクラリスロマイシンに関する報告が2件あったことから、同成分については主処方元の診療科にかかわらず、処方医に報告すべき相互作用を引き起こしている症例が一定数存在することが予想された。