第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-185-B] 血液検査結果の標準化eGFRが処方量の適正判断においてどの程度参考になるかの検討

吉江 友理子1, 中田 実南穂2 (1.(株)ココカラファインヘルスケア・ココカラファイン薬局神保町店, 2.同 白金台店)

【目的】推定CCr算出における、日本の酵素法と欧米のヤッフェ法によるSCr値の差異を補正する方法(a)「CCr×0.789」と(b)「SCr+0.2でCCrを算出」では、どの程度数値に違いが出るのかを検討する。
また、時間に追われる業務の中で薬物投与量が適正かを素早く判断する材料として、血液検査結果の標準化eGFRを、個別化eGFRや補正CCrを算出することなく、どの程度参考にできるかを検討する。
【方法】日本人の平均値をもとに年齢・体型・腎機能の各パラメーターを変え、標準化eGFR、個別化eGFR、CCr、補正CCrの数値の違いを算出し、表にした。
【結果】±5以内の差を「近似」、±10以内を「ほぼ近似」、±10を超えた場合を「乖離」とした。(a)と(b)による補正CCr値の差は「近似~ほぼ近似」となった。また、標準化eGFRと個別化eGFRの比較では、標準化eGFR45以下の場合は、小柄体型(身長145cm以下又は低体重のBMI18.5以下)でなくかつ70歳以下であれば、「近似~ほぼ近似」となった。他の条件下では「乖離」が発生した。
【考察】「eGFR(mL/分/1.73m2)の推定式は、正確度は実測値の±30%の範囲に入る症例が約75%程度であるとされている」「SCr値には10%程度の日内変動があり、0.1mg/dlの差が推算値ではCCrやeGFRで10ml/min前後の差になる」といった点から、数値の差が±10内の「近似~ほぼ近似」を、変動範囲内と捉えてみると、補正CCrを算出する(a)と(b)の方法は、値の差が変動範囲内であり、どちらを使っても同等と考える。また、±10内の結果が出た、「小柄体型ではなく、標準化eGFR45以下かつ70歳以下」の範囲は、標準化eGFRを、投与量が適正かを素早く判断する材料として、個別化eGFRの代わりに使えると考えられる。しかし他の条件下や補正CCrの代わりとしては使えず、特に糖尿病患者や高齢者の、身長・体重・SCr値は、近医等で測定された値を年1回でも聞き取るようにし、経過確認できるよう、お薬手帳や薬歴に残していくことが、患者個人のためにもなると考える。