第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-190-A] 九州地方における薬局―医療機関間の距離と調剤基本料届出状況の関連

此村 恵子, 池谷 怜 (国立保健医療科学院)

【目的】
病院の目の前にあれば門前薬局、そうでなければ面薬局と、薬局が近隣病院からの距離によって区別されることがあるが、これらの正確な定義は定まっていない。調剤報酬上は特定の医療機関からの処方箋が集中しやすいかどうかによって、門前薬局と想定される薬局を区別する仕組みとなっている。本研究では、地図情報システムを利用し、薬局から最寄りの医療機関(病院あるいは診療所)までの距離と、調剤基本料の届出内容との関連を調査した。
【方法】
対象となる施設は令和4年5月1日時点で九州厚生局ホームページに掲載されているコード内容別医療機関一覧表(指定一覧)に含まれる医療機関および薬局とした。ただし、徒歩で近隣の医療機関に到達できない薬局については解析対象から除外した。医療機関と薬局の住所情報を地理情報システムに読み込み、道路情報を利用して、薬局から最寄りの医療機関までの距離(m)を算出した。これを厚生局届出の調剤基本料別(調剤基本料1,2,3イロハ,特別調剤基本料,届け出なし)の7区分に分けて、記述統計量を算出した。
【結果】
九州厚生局に届け出のある7,497件のうち解析対象となったのは7,477件の薬局であった。調剤基本料1は6,270件、調剤基本料2は268件、調剤基本料3イは297件、調剤基本料3ロは367件、調剤基本料3ハは152件、特別調剤基本料は10件、届出なしが113件であった。薬局ー医療機関間の平均距離は特別調剤基本料を除くいずれの区分においても120~160mの範囲であった。調剤基本料3ロと特別調剤基本料については、最寄りの医療機関と同一住所である割合が約60%と多い傾向にあった。
【考察】
九州地方においては、調剤基本料の届出内容と薬局―医療機関間の距離に関連があるとは言えなかった。調剤基本料は薬局のインフラとしての体制整備のために設定されており、いわゆる門前か面かという地理的な情報は必ずしも反映するものではないと考えられた。