第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-196-A] 保険薬局従事者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )に係るストレスの実態調査

丸田 勇樹1,2 (1.(株)フロンティア フロンティア薬局日立店, 2.国際医療福祉大学大学院 薬学研究科 医療・生命薬学専攻)

【目的】新型コロナウイルス感染症流行の長期化による保険薬局従事者の感染における不安や業務におけるストレスの実態を調査し、心理的・社会的影響を把握する。
【方法】2021 年12 月に(株)フロンティアの薬局従業員1063 名を対象に「COVID-19 対応者のためのストレスチェックリスト(日本赤十字社)」から質問項目を選別し薬局従事者向けに作成した調査票を使用し、各質問にストレスが「大いにある」「多少ある」「あまりない」「まったくない」で回答を取得した。さらに「大いにある」から順に4 ,3 ,2 ,1 点に点数化のうえ、主因子法による因子分析を行い、十分な因子負荷量を示さなかった1 項目を除外し、9 項目から構成される「行動制限」因子と5 項目で構成される「自己管理」因子に分類し、職種間の下位尺度得点差を検討した。統計解析ソフトは、IBM SPSS Statistics 28®(日本IBM(株)東京)を用い、それぞれの検定の有意水準は5 %未満とした。本研究は国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:21-Ig-61)。
【結果】薬剤師468 名と医療事務233 名から回答が得られた。得点は「行動制限」でM = 1.80, SD = 0.52 、「自己管理」でM = 2.36, SD = 0.64 であった。職種間の得点差をt 検定により検討したところ、「行動制限」について、医療事務よりも薬剤師のほうが有意に高い得点を示していた(t = 4.74, df = 699, p < .001 )。「自己管理」については、有意な差はみられなかった(t = 1.52, df = 699, n.s. )。
【考察】COVID-19 の感染再拡大が懸念されていた時期において、職種によるストレスの違いは認めたものの、強いストレスを感じる状況ではなかったことが明らかになった。薬局従業員はセルフケアに加え、自治体や薬剤師会等からのサポートを得ることで、生物学的感染症に続き起こる心理的・社会的影響に対処し、職務を遂行していたと考えられる。