第16回日本薬局学会学術総会

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シンポジウム

シンポジウム6
「ワンランクアップの在宅医療 ~ツールを用いた共通認識~」

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:40 PM 第1会場 (3階 メインホール)

座長:川添 哲嗣 (徳島文理大学香川薬学部 医療薬学講座 准教授), 永冨 将寛(日本保険薬局協会 薬局機能創造委員会 副委員長)

共催:一般社団法人 全国薬剤師・在宅療養支援連絡会(J-HOP)企画

[SY6-2] 医療・介護をつなぐ連携シートと報告書

雜賀 匡史 (さいが居宅介護支援事業所 さいがケアファルマ合同会社 介護支援専門員 薬剤師)

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我が国の要介護(要支援)認定者数は約700万人にのぼり、高齢者の約5人に1人が何らかの介護保険サービスを利用している。
また、在宅患者の85%以上は要介護状態にあり、医療と介護には密接な関係がある。
在宅患者の基礎疾患は多様であり、特に循環器疾患・認知症・脳血管疾患を抱える患者の割合が多い。このような患者の多くが何らかの薬を服用しており、必要な薬物療法を提供するため、薬剤師による在宅訪問が行われているケースも多い。
近年では在宅医療に参画し訪問薬剤管理指導を行う薬局も増えており、約半数の薬局が在宅業務を行っている。地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割は、在宅医療への参画と共に重要性が増しており、医療従事者だけでなく介護従事者からの期待も大きく、様々な職種から連携を求められている。
千葉県では医療と介護サービスをスムーズに提供することを目的として、ケアマネジャーと病院や在宅の医療従事者間で情報共有するための千葉県地域生活連携シートが運用されている。主に利用者(患者)の入退院時に利用されているこの連携シートだが、基本情報や生活全般における情報が網羅されている一方で、薬に関しては必用最低限の項目しかなく、服薬に関する現状を十分に伝えられるものにはなっていない。
このような中で、薬剤師と他の医療従事者や介護従事者をつなぐツールの一つが、薬剤師が訪問後に作成する報告書である。薬剤師が行う居宅療養管理指導では、医師又は歯科医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、必要な薬学的管理指導を実施した後に医師又は歯科医師、介護支援専門員(ケアマネジャー)に対し情報提供することとされている。
この報告書は薬剤師や薬局により様式も様々であるが、薬剤師からの情報提供は時にケアマネジャーが作成する介護サービス計画(ケアプラン)にも影響を及ぼすため、内容について十分に精査されたものが望ましい。
また、ケアマネジメント業務に従事するケアマネジャーの基礎資格は、半数以上が介護系の資格(介護福祉士、相談援助業務等従事者、社会福祉士など)であるため、医療専門用語や薬剤名が羅列された情報提供書では、必要な事柄が十分に伝わらないなど、提供する内容にも注意すべき点がある。
このシンポジウムでは医療・介護をつなぐことを目的として、連携シートや報告書の活用方法を考えたい。