日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

A会場

一般セッション » S15. 強震動・地震災害

[S15]AM-1

2019年9月17日(火) 09:15 〜 09:45 A会場 (百周年記念ホール)

座長:古村 孝志(東京大学地震研究所)、土田 琴世(株式会社阪神コンサルタンツ)

09:30 〜 09:45

[S15-20] 横手盆地の推定地盤構造に基づく予測強震動

佐藤 啓太1、*松島 信一2、De Martin Florent3 (1. 西日本旅客(株)、2. 京都大学防災研究所、3. フランス地質調査所)

常時微動観測で得られた水平上下スペクトル比及びRayleigh波位相速度分散曲線に基づいて推定された3次元地盤構造モデル(佐藤・他,2018)に基づき,横手盆地東縁断層帯北部を震源断層とした強震動シミュレーションを行うことで1896年陸羽地震の被害と強震動との関係について検討するとともに,横手盆地東縁断層帯南部を震源断層とした地震が発生した場合の横手市域における強震動予測を行う。
まず,横手盆地内で大きな被害をもたらした,1896年陸羽地震の強震動シミュレーションを行う。地震調査研究推進本部(以下、地震本部)が公開している横手盆地東縁断層帯北部の想定地震ケース1の断層モデル(地震本部,2005)を震源断層と想定する。地盤構造による影響を比較するため,佐藤・他(2018)の推定地盤構造モデルに加え,防災科学技術研究所のJ-SHISで公開されている深部地盤構造モデルを用いた強震動シミュレーションも行った。計算には、スペクトルエレメント法の一つである,EFISPEC3D(De Martin,2011)を用いる。その結果,佐藤・他(2018)の推定地盤構造モデルを用いた場合に,横手市西側まで達する最大速度(PGV)が大きい領域が現れた。このようなPGV分布はJ-SHIS深部地盤構造モデルを用いた場合には見られず,1896年陸羽地震の際に被害の大きい地域が横手市周辺にも現れた原因については、横手市周辺で基盤深さが深くなる地盤構造による影響が大きいと考えられる。
次に,横手市付近を通る横手盆地東縁断層帯南部において,横手市に近い北側のアスペリティから破壊が開始する想定地震ケース4の断層モデル(地震本部,2005)を用いて,佐藤・他(2018)の推定地盤構造モデルに基づく強震動予測を行う。その結果,図に示すように横手市西側において基盤が急激に深くなっている領域においてPGVが大きくなり,特に東西方向で顕著に見られる。これは、横手市周辺における東西方向の基盤深さ変化の方が南北方向に比べて急峻であることや,破壊開始点が横手市のほぼ真東に位置していることが影響していると考えられる。
謝辞:本研究はJSPS科研費JP16K06573と東大地震研-京大防災研拠点間共同研究課題募集型研究「詳細地盤構造と活動セグメントの新たな解釈に基づく歴史地震の断層モデル構築に関する研究」の助成を受けた。