日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S16. 地盤構造・地盤震動

S16P

2019年9月17日(火) 17:00 〜 18:30 P会場 (時計台国際交流ホールII・III)

17:00 〜 18:30

[S16P-11] 常時微動H/Vスペクトル比を用いた小笠原硫黄島の地盤振動特性の評価

*村越 匠1 (1. 防衛大学校)

小笠原硫黄島は地震や地殻変動などの火山活動の活発な火山島である.最近では,2018年9月8日から小笠原硫黄島での地震活動が活発化し,9月12日には小笠原硫黄島の南方沿岸で海面から5〜10mの高さの海水の噴出が確認され海底噴火が発生したと推定されている(第142回火山噴火予知連絡会資料,2018).それ以降では,2019年3月から4月に火山性地震の日回数が100回を超える日が7回観測されている(第144回火山噴火予知連絡会資料,2019).また,活断層については貝塚・他(1983)により小笠原硫黄島の西側で阿寺台断層などの複数の活断層があることが報告されている.地震学的構造については熊谷・高橋(1985)の人工地震探査の報告はあるが小笠原硫黄島全域についての情報は少ない.そこで,本研究では小笠原硫黄島全域の地盤の振動特性を評価することを目的として,常時微動のH/Vスペクトル比を用いた解析を行った.観測データには,2013年と2016年に実施した2回の小笠原硫黄島における常時微動観測の記録を用いた.1回目の2013年10月18日から10月21日の観測では常時微動の単点観測を54地点で実施した.観測には2Hz3成分速度型の地震計(CDJ-S2C-2)と計測技研HKS-9550のデータロガーを利用し,観測時間は1観測点につき15分以上とした.2回目の2016年7月27日から7月31日の観測では単点観測を88地点で実施した.観測には2013年に利用した2Hz速度型地震計よりも長周期成分を観測可能な可搬型強震観測システム(センサーJEP-6A3P,ロガーLS- 7000XT,アンプ搭載筐体)を利用し,観測時間は1観測点につき30分以上とした.それぞれの観測における速報的な解析結果は,村越・他(2014, JpGU)および村越・他(2016,日本火山学会2016年度秋季大会)で報告している.今回は観測点ごとの微動H/V スペクトル比を用いて,その卓越周期,振幅,スペクトル比の形状および異方性について解析を進めた.本発表では常時微動H/Vスペクトル比の解析から得られた小笠原硫黄島全域での地盤振動特性の空間分布や,活断層の分布との関係性について報告を行う.

謝辞:可搬型強震観測システムについては東京大学地震研究所共同研究プログラムの援助を受けました.小笠原硫黄島での観測全般に関して海上自衛隊厚木航空基地隊硫黄島支援班および硫黄島基地気象班に支援していただきました.微動観測では防衛大学校の小森恵津郎氏,島田正樹氏,桶本勇二氏,林浩平氏,木村孝承氏,西本将平氏に協力していただきました.記して感謝致します.