日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

D会場

特別セッション » S23. オープンデータと地震学

[S23]PM-1

2019年9月17日(火) 13:30 〜 15:00 D会場 (時計台国際交流ホールI)

座長:加納 靖之(東京大学地震研究所)、汐見 勝彦(防災科学技術研究所)、鶴岡 弘(東京大学地震研究所)

14:15 〜 14:30

[S23-13] 地震カタログデータの利活用に関して

*鶴岡 弘1 (1. 東京大学地震研究所)

地震研究所地震火山情報センターでは,TSEIS なるWebアプリケーションを開発し,気象庁一元化震源をはじめ,ISCカタログなど種々の震源カタログを提供している.このアプリケーションでは,時間,領域,マグニチュード等で検索ができ,震央表示,断面図表示,M-T図,地震数積算図,規模別頻度分布図などの出力機能を有する他リスト出力もでき研究者だけでなく地震活動に興味がある一般の方からも利用されている.このアプリについては,もともとはUNIXにおいて開発されたツールをWeb対応させたアプリケーションである.アプリケーションの提供を維持するために様々な対応を行っている.
 1)UNIX以外で利用可能となるようマルチプラットフォーム化
 2)商用のソフトウェアに依存しない開発環境の選択
 3)特定のデータライブラリ等を利用しない
 4)アプリケーション内で利用する共通フォーマット
1)の対応にあたり,コンパイラ環境はGNUコンパイラコレクション(GCC)を採用した.もちろん昨今であればPythonなどの言語も候補にあがると思われるが,今後10年利用できるのかは判断が困難である.一方,C言語,Fortran言語はプログラムの資産も多いので今後も対応すると思われる.2)については例えば,機能が豊富なMatlab等を採用することによりコーディングの量は格段に減るがMatlab本体のバージョンアップによりその対応がほぼ毎年発生するだけでなくこのツールの維持のためのライセンス量が負担になることが多い.3)についてはこれまでnetCDFというかなり汎用的に利用されているデータライブラリを利用してきたが計算機の向上によりアスキーデータの入力でも問題がなくなったことなどがあり使用しないことにした.4)については各震源カタログのフォーマットはデータソース機関毎に異なっており,それぞれのフォーマットを読み込めるようにするという対応ではなく内部的な共通フォーマットに変換してそのデータを読み込むようにしている.
 地震活動解析ツールについては,地震活動解析ルーチンの拡充が重要であるが,現在ベータバージョンを開発中である(図).本来であれば開発チームを作成することにより開発時間が短縮できると思われるが,少しずつ充実を図っている.また,今後はwebAPIを策定するなども検討している.