The 2021 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S07. Structure and dynamics of the Earth and planetary interiors

PM-1

Sat. Oct 16, 2021 2:00 PM - 2:30 PM ROOM C (ROOM C)

chairperson:Takehi Isse(Earthquake Research Institute, the University of Tokyo)

2:00 PM - 2:15 PM

[S07-01] Slow anomalies atop the 410-km discontinuity oceanward of the Kurile slab

〇Masayuki OBAYASHI1, Junko Yoshimitsu1, Yoshio Fukao1 (1.IMG, JAMSTEC)

本州スラブの下の410-km分連続面の直上には低速度異常があり,高温の異常に起因することが示唆されている(e.g. Obayashi et al, 2006; Bagley & Revenaugh, 2008)。しかしそこで示された低速度異常域は本州スラブおよび伊豆−小笠原スラブの北端付近と限定的であり、その広がりは未だ明らかでない。我々はJpGU-AGU joint meeting 2020, において千島海溝付近で起きた11地震のHi-netデータを解析し、南千島から本州にかけても2−3%の低速度異常が410-km不連続面の直上にあり、Obayashi et al.(2006)で示された1次元速度モデルM200M(200℃高温及び1%未満のメルトに起因する410-km不連続面直上の低速度異常および410-km不連続面の沈降)で説明できることを示した。そこでは11地震の自乗エンベロープ波形を震源深度が120kmとなるように補正後スタックした波形を用い、スタック波形の走時を説明する1次元速度構造をフォワードモデルリングによって示した。
 今回、初動走時及び初動と410-km不連続面triplication のretrograde相間の走時差を用いたトモグラフィーで410-km不連続面付近のP波速度構造を明らかにした。上記スタック波形作成に用いた11地震から波形がシンプルで明瞭な8地震を選び、初動到達時刻はhand-pickにより測定し、走時差は自乗エンベロープ波形の初動と後続波のピーク間の時間を測定した。トモグラフィーの初期モデルは1次元速度モデルIASP91に3次元速度モデルGAP_P4(Obayashi et al., 2016)のperturbationを加えたモデルとした。2000年以降のInternational Seismological Centre(ISC)の初動走時データ約1,500万パスと上記測定値それぞれ約1500パスをIASP91モデルを基に波線計算し有限波長効果を考慮したカーネルを用いた。その際、初動走時データについては2.0Hz、走時差データに関しては自乗エンベロープ波形作成時に使用したフィルタ0.3−2.0Hzを仮定した。千島海溝付近8地震で得られたデータの重みはISCデータのみで得られる高速スラブ異常に変化がないように0.5(ISCデータの重み1に対し)と設定した。
 図は得られた結果をISCデータのみを使用したトモグラフィー結果と比較したものである。千島列島下の410-km不連続面直上にはObayashi et al.(2006)で示された本州スラブおよび伊豆−小笠原スラブの北端付近の異常と同程度の強度の低速度異常が得られた。従って沈み込むスラブの下の410-km不連続面付近の異常は本州スラブに限られたものではなく千島から本州にかけても見られる一般的な現象と考えられる。

図:(上)千島海溝付近の8個の地震の初動走時データと初動と410-km不連続面triplication のretrograde相間の走時差データをISC初動走時データと共にインバージョンした結果。(下)ISC初動走時データのみをインバージョンした結果。