The 2021 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (Oct. 14th)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

P

Thu. Oct 14, 2021 3:30 PM - 5:00 PM ROOM P3 (ROOM P)

3:30 PM - 5:00 PM

[S09P-07] Urgent ocean bottom seismic observation of earthquake swarms in the Tokara Islands initiated in April 2021

〇Yukihiro NAKATANI1, Hiroshi Yakiwara1, Yusuke Yamashita2, Shuichiro Hirano1, Shigeru Nakao1 (1.NOEV, Kagoshima Univ., 2.Miyazaki Observatory, DPRI, Kyoto Univ.)

南西諸島北部のトカラ列島近海(鹿児島県十島村・小宝島付近)において,2021年4月9日23時台から顕著な地震活動が発生した.一連の地震活動は,開始から約3日間で200回以上の有感地震を伴う群発地震の様相を呈し,最大マグニチュード(M)は5.3,最大震度は4(悪石島)であった.島嶼部に展開された地震観測網を用いて,鹿児島大学地震火山地域防災センター附属南西島弧地震火山観測所(NOEV)が決定した震源の多くは深さ約10–20 kmであり,当該群発地震は陸側プレートの地殻内で発生したと考えられる.有感地震の活動としては,消長を繰り返しながら約10日間で計250回以上を観測し,4月22日以降は散発的な活動を示している.
今回の群発地震が発生した小宝島周辺では,過去にも群発地震活動が見られている.特に1995年12月に発生した活動域は今回と類似しており,最大Mが5.5,M2.5以上の地震が約10日間で250回以上観測された点でも共通している.多くの群発地震活動の背景の一つとして,地殻流体の移動が考えられている.小宝島周辺においては,熱水活動やガスプルームを伴う海底火山が確認されているほか,トカラ海峡付近で流体の流路となり得る構造的な不均質性も高いと考えられる.しかしながら,今回の群発地震の原因を検討するにあたり,現有の震源精度が悪い問題がある.これは,地震観測点が北東―南西方向に直線状かつ疎らに配列した島嶼部に限定されているためである.
NOEVと京都大学防災研究所宮崎観測所は,こうした背景を踏まえ,緊急の海底地震観測を開始した.新規に設置した海底地震計は4.5 Hz速度計を搭載した短期収録型海底地震計1台で,観測点配置は,曽根が多い急峻な海底地形も考慮しつつ,陸上観測点が存在する悪石島・宝島との3点で地震活動域を取り囲むように設定した.4月17日に設置が完了し,同日23時より観測を開始した.海底地震計の回収は,当初2021年6月~7月に計画していたが,海況不良やコロナ禍のため本予稿投稿時点では未実施で,8月下旬~9月上旬に予定している.本発表では,当該地震活動の特徴と海底地震観測の詳細について紹介するとともに,回収予定の海底地震計記録も用いた暫定結果を報告する.

謝辞:海底地震計の設置航海は,長崎大学水産学部附属練習船長崎丸の教育関係共同利用に基づき実施されました.記して感謝いたします.