3:30 PM - 5:00 PM
[S15P-12] Number of earthquakes from seismic activity model of the probabilistic seismic hazard map for Japan starting from 2020
地震調査研究推進本部地震調査委員会により公表されている「全国地震動予測地図」のうち確率論的地震動予測地図では、地震を複数に分類した上で、各々について地震発生の確率モデルが作成されている。確率論的地震動予測地図の妥当性検証の1つとして、地震活動モデルで表現されている規模別地震発生頻度と近年の地震カタログデータとの比較がある(例えば、森川・他,2019、日本地球惑星科学連合大会)。そこでは、確率論的地震動予測地図2018年版の地震活動モデルを対象としており、平成23年東北地方太平洋沖地震後のカタログの余震の扱いが一つの課題となっていた。本稿では、2017年までの地震カタログを用いた確率論的地震動予測地図2020年版における地震発生数を算定し、地震カタログデータおよび2018年版における地震発生数との比較を行う。
まず、確率論的地震動予測地図の地震活動モデルにおいて、2020年版での主な変更点は以下の通りである。
・日本海溝沿いの超巨大地震、青森県東方沖および岩手県沖北部のプレート間巨大地震、宮城県沖のプレート間地震について、多様な発生パターンを考慮している。
・南海トラフの地震(M8~9クラス)について、確率論的津波評価で設定した従来よりも多様な震源域の組み合わせと、それぞれの起こりやすさを考慮した重み付けを踏まえたモデルとしている。
・震源断層を予め特定しにくい地震の発生頻度の算定において、領域区分を一部変更、地震カタログとして宇津(1982)による1885~1921年のM 6.0以上の地震と1922~2017年のM 5.0以上の気象庁震源データに変更(2018年版は、宇津(1982)による1885~1925年のM 6.0以上の地震と1926~2010年のM 5.0以上の気象庁震源データ)、余震を除去する場合とカタログのすべての地震を用いる場合を併用、等である。
つぎに、確率論的地震動予測地図の地震活動モデルで表現される地震発生数として、30年間での期待値を規模ごとに算定し累積地震数で表す。手順は以下の通り。
・非定常な地震活動モデルが採用されている地震については、基準日から30年間の地震発生確率を地震数の期待値とする。
・多様な発生パターンを考慮している地震(南海トラフの地震(M8~9クラス)、相模トラフ沿いのM8クラスの地震、千島海溝沿いの超巨大地震(17世紀型)、十勝沖および根室沖のプレート間巨大地震、日本海溝沿いの超巨大地震、青森県東方沖および岩手県沖北部のプレート間巨大地震、宮城県沖のプレート間地震)については、30年間の全体の地震発生確率に各発生パターンの重みを乗じたものをそれぞれ30年間の地震数の期待値とする。
・ポアソン過程が採用されている地震については、地震発生頻度に基づく30年間の地震数を用いる。
・モーメントマグニチュード(Mw)でモデル化されている地震の規模について、主要活断層帯で発生する地震はM = (Mw-1.08) / 0.78、それ以外の地震は M = Mwにより気象庁マグニチュードMに変換する。
比較対象とする地震カタログについては、宇津(1982)による1885~1921年のM 6.0以上の地震と1922~2017年のM 5.0以上の気象庁震源データを組み合わせたものとする。このとき、確率論的地震動予測地図2020年版と同様に、余震を除去する場合とカタログのすべての地震を用いる場合との地震数を0.5:0.5の重みで算出する。
陸側プレートの浅い地震については、平均ケースの場合M7.4以下、最大ケースの場合M7.6以下においてカタログよりモデルの地震数がやや大きいが、それより大きな規模ではモデルの地震数が小さい傾向が見られる。
フィリピン海プレートの地震については、M8.0以下においてモデルとカタログの地震数が整合的であるものの、それより大きな規模ではモデルの地震数が極端に大きくなっている。これは南海トラフの地震(M8~9クラス)において時間予測モデルに基づいた大きな発生確率がモデル化されていることが影響している。ただし、カタログにおける最大規模の地震は1946年の南海地震(M8.0)であり、それより大きな規模については直接カタログの地震数との比較はできない。
太平洋プレートの地震については、平均ケースの場合M8.4以下、最大ケースの場合M8.8以下においてカタログよりモデルの地震数がやや大きいが、それより大きな規模ではモデルの地震数が小さい傾向が見られる。ただし、カタログにおけるM8.6以上の地震は2011年の平成23年東北地方太平洋沖地震(M9.0)のみであり、カタログでは133年に1回発生したとして地震数を算定していることに注意されたい。
まず、確率論的地震動予測地図の地震活動モデルにおいて、2020年版での主な変更点は以下の通りである。
・日本海溝沿いの超巨大地震、青森県東方沖および岩手県沖北部のプレート間巨大地震、宮城県沖のプレート間地震について、多様な発生パターンを考慮している。
・南海トラフの地震(M8~9クラス)について、確率論的津波評価で設定した従来よりも多様な震源域の組み合わせと、それぞれの起こりやすさを考慮した重み付けを踏まえたモデルとしている。
・震源断層を予め特定しにくい地震の発生頻度の算定において、領域区分を一部変更、地震カタログとして宇津(1982)による1885~1921年のM 6.0以上の地震と1922~2017年のM 5.0以上の気象庁震源データに変更(2018年版は、宇津(1982)による1885~1925年のM 6.0以上の地震と1926~2010年のM 5.0以上の気象庁震源データ)、余震を除去する場合とカタログのすべての地震を用いる場合を併用、等である。
つぎに、確率論的地震動予測地図の地震活動モデルで表現される地震発生数として、30年間での期待値を規模ごとに算定し累積地震数で表す。手順は以下の通り。
・非定常な地震活動モデルが採用されている地震については、基準日から30年間の地震発生確率を地震数の期待値とする。
・多様な発生パターンを考慮している地震(南海トラフの地震(M8~9クラス)、相模トラフ沿いのM8クラスの地震、千島海溝沿いの超巨大地震(17世紀型)、十勝沖および根室沖のプレート間巨大地震、日本海溝沿いの超巨大地震、青森県東方沖および岩手県沖北部のプレート間巨大地震、宮城県沖のプレート間地震)については、30年間の全体の地震発生確率に各発生パターンの重みを乗じたものをそれぞれ30年間の地震数の期待値とする。
・ポアソン過程が採用されている地震については、地震発生頻度に基づく30年間の地震数を用いる。
・モーメントマグニチュード(Mw)でモデル化されている地震の規模について、主要活断層帯で発生する地震はM = (Mw-1.08) / 0.78、それ以外の地震は M = Mwにより気象庁マグニチュードMに変換する。
比較対象とする地震カタログについては、宇津(1982)による1885~1921年のM 6.0以上の地震と1922~2017年のM 5.0以上の気象庁震源データを組み合わせたものとする。このとき、確率論的地震動予測地図2020年版と同様に、余震を除去する場合とカタログのすべての地震を用いる場合との地震数を0.5:0.5の重みで算出する。
陸側プレートの浅い地震については、平均ケースの場合M7.4以下、最大ケースの場合M7.6以下においてカタログよりモデルの地震数がやや大きいが、それより大きな規模ではモデルの地震数が小さい傾向が見られる。
フィリピン海プレートの地震については、M8.0以下においてモデルとカタログの地震数が整合的であるものの、それより大きな規模ではモデルの地震数が極端に大きくなっている。これは南海トラフの地震(M8~9クラス)において時間予測モデルに基づいた大きな発生確率がモデル化されていることが影響している。ただし、カタログにおける最大規模の地震は1946年の南海地震(M8.0)であり、それより大きな規模については直接カタログの地震数との比較はできない。
太平洋プレートの地震については、平均ケースの場合M8.4以下、最大ケースの場合M8.8以下においてカタログよりモデルの地震数がやや大きいが、それより大きな規模ではモデルの地震数が小さい傾向が見られる。ただし、カタログにおけるM8.6以上の地震は2011年の平成23年東北地方太平洋沖地震(M9.0)のみであり、カタログでは133年に1回発生したとして地震数を算定していることに注意されたい。