Japan Association for Medical Informatics

[CS4] データヘルス時代の電子カルテのアーキテクチャ考

*片山 成仁1、*水江 伸久2、*喜多 伸夫3、*木村 映善4 (1. 医療法人社団成仁、2. グーグル・クラウド・ジャパン合同会社、3. サイオステクノロジー株式会社、4. 愛媛大学)

 “経済改正運営と改革の基本方針(2020年)”において、一生涯の健康データを提供できるPHRの拡充、医療・介護分野におけるデータ利活用やオンライン化を加速することが閣議決定された。
オーダリングシステムの進化系として成長した電子カルテシステムであるが、ここに至ってPHR、EHRへのデータ提供、二次利用に資するデータの蓄積、IoTデバイスや様々な病院内外のシステムとの接続による多方面へのサービス展開に対応していくことへの期待が高まっている。その中にあって電子カルテにかかる標準化と抜本的な情報セキュリティ、プライバシーに関する要求への対応は国民のためのデジタル医療基盤を構成していくために不可欠な過程である。米国で医療政策に貢献する二次利用可能な医療データを産出可能な医療情報システムの普及政策(Meaningful Use)の中核技術の一つであるFHIRは相互運用性を担保する標準規格であり、わが国でも注目されている。
 本シンポジウムでは、FHIRをサポートしたクラウドAPIに依拠した電子カルテシステムの開発プロジェクトについて紹介し、クラウド・ファーストかつ標準的な医療情報モデルに当初からもとづいたシステム像について提示し、今後の電子カルテのありかたについてディスカッションする。
 Google Cloud上にFHIRを使った精神科電子カルテシステムを構築することを着想するに至った背景と思想について紹介する。また、本システムのインフラを担っているGoogleの医療データに関するサービス構想とGoogle Healthcare API、Healthcare Data Engine、そしてわが国のガイドラインの準拠状況等について解説する。Google Cloud上に精神科電子カルテシステムを実装したベンダーからGoogle Cloudを利用し、FHIRを採用したレポジトリを中核とした電子カルテを実装した経験と課題について紹介する。そして、FHIRを電子カルテで使う利点などを提示し、総合討論を行う。