Japan Association for Medical Informatics

[3-A-2] 医療情報に関わる人材の更なる重要性と社会的認知の必要性

中川 肇1 (1. 富山大学附属病院医療情報部)

Medical Informatics, Education, Specialist Doctor, Healthcare Information Technologist

【はじめに】電子カルテシステム(以下、電カル)の夜明けとされる1999年の当時の厚生省の三局長通達から既に20年経過した。電カルは臨床上では欠かせない存在となったが、その反面、医療情報システムに関わる人材像については、十分議論がなされ、人材は潤沢に存在し、機能的役割を担っているとはほど遠い現状と推察される。知識集約型の医療情報システムには多職種が関与し、それぞれのキャリアパスも異なっている。ここが医療情報システムの今後の発展のためのキーであると考えている

【現状】JAMI認定資格である医療情報技師(21,882名認定)と上級医療情報技師(417名合格)で活躍している。彼らは医療現場を主に医療側とシステム(ベンダ)側に属し、橋渡しとして重要な役割を果たしていることは論を待たない。しかるに、JAMIでは平成28年に社会医学系専門医協会の一員としての活動を開始した。これは医師が医療情報を志す際の一つのステップであると考えられ、日本専門医機構傘下の19領域と同様に二階層目として「医療情報専門医」が構想される。また、前期JAMI教育委員会(委員長:大原信筑波大学教授)では、アカデミア向けの医療情報学のWeb教科書を計画した。これらの動きは前者が現場寄りに対して、後者は基礎を含めた医療情報の研究者である。

【今後の方向性】医療分野へIoTとAiを活用して、医療の質を向上させるためには、現場寄りの専門家と医療情報の研究者としての専門家が車の両輪として育成する必要がある。前者は国家資格保有者が医療情報に関心を持ち、最終的には上級医療情報技師をめざすキャリアアップであり、各病院等で相応の処遇が約束されていないことが最大の改善点であろう。後者は医師が対象であるが、病院長が医療法で医師であることが定められている以上、医師CIOが病院長と対等な立場でシステム導入のコストパフォーマンス等を説明することが望ましく早急に医療情報専門医制度を確立すべきであろう。