Japan Association for Medical Informatics

[3-A-5] 時空間ネットワークで解く首都圏電車の混雑 -2020東京オリンピック開催時,どうなる-

田口 東1 (1. 中央大学理工学部)

public transportation network, total demand management, computer simulation

 東京首都圏の鉄道ネットワークは、一日800万人が利用している。ネットワークは空間的にも時間軸上も非常に密に作られている。朝の通勤ラッシュは短時間に集中し、15分ごとの利用者が最大250万人台に上る。2020東京オリンピック大会では、外国人を含む多くのオリンピック観戦客が鉄道を利用する。立候補ファイルの競技スケジュールによると、多い日で約65万人の観戦客が移動する。朝のラッシュ時には、通勤客は郊外から都心に向かい、主要路線と複数の路線が交わる駅は激しい混雑が起きている。加えて東京大会の競技会場は都心部や臨海部に分散し、観戦客は通常客と同じようにネットワークを利用することになる。

 この問題を丁寧に議論するには、大規模で複雑な首都圏鉄道ネットワークを移動する乗客を、路線・時間軸に沿って追いかけて、いつ・どの電車・どの駅に乗客が現れるのかを記述できる交通モデルが必要である。これに対して、電車時刻表と路線を組み合わせて、電車一本一本の単位で乗客の移動を表現できる時空間ネットワークを作成し、利用者の出発駅・目的駅・降車(乗車)時刻の調査データをのせ、各利用者の移動経路を計算する数理モデルを解いて時間依存の乗客の流れを導いている。オリンピック交通の問題にもどろう。課題は大きく二つある。

(1) 観戦客によって、競技の開始と終了に同期して競技会場につながる路線、最寄り駅が混雑する。


(2) ラッシュ時に通勤客とオリンピック観戦客とが重なると、主要な路線・駅で激しい混雑が起こる。


 課題(1)に対しては、競技場にアクセスする駅を複数設定すること、競技場への到着時刻を分散させること、によって平準化を図る。課題(2)は、現状で混雑している箇所に顕著に現れるので、解決は難しい。オリンピック後を考えるとハード的な対策よりは、通勤移動の総量削減と平準化といったソフトな解が重要である。