Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-01] 臨床現場に効果的なICT メディアとシステム

保坂 良資1 (1. 湘南工科大学)

現在の臨床現場は京王プラザホテルで開催された「medinfo'80東京大会」以前とは大きく異なり、多くのシステムや高度な技術に支えられている。人的な側面でも、医療スタッフの種別が多岐に渡り、様々な協働が成されている。このような複雑な環境下では円滑な情報伝達が実施されないと、正確さが損なわれるだけではなく安全性が毀損される。これは、情報伝達系が複雑になれば信号/雑音比(SN比)が悪化するのと同様である。そしてその結果は、かんじゃの安全性低下をもたらすこととなる。情報伝達すなわちコミュニケ-ションの伝達にはシステムの活用が効果的である。またシステムと同様に情報メディアの活用も不可欠である。たとえば個体認証の情報メディアを例とすると、2000年の医療情報学会大会では1次元バ-コ-ドが主流であった。これを推進する研究者は、絶対的な優位性を説いて譲らなかった。しかし現在ではQRコ-ドが市民生活に溶け込み、1次元バ-コ-ドは補助的な立場に退いた。またユニクロに代表される一般物流系では、QRコ-ドのような2次元シンボルもすでに過去のものである。そこでは920MHz帯RFIDが主流として躍り出ている。総務省の物流実証実験でも、主役は920MHz帯RFIDであり、2次元シンボルは補助的なメディアである。適切な情報メディアが適切なシステムと併せて活用されれば、多職種間の複合的なコミュニケ-ションを効率よく支援できよう。「今」に拘泥していたのでは、現在までの医療の親展は起こりえなかった。「今」を生きる世代は次の世代に対する責任として、新たなシステムやメディアに対して積極的に臨むことが肝要と考える。