Japan Association for Medical Informatics

[3-P1-1-03] 入力チェック機能を備えた歯科用部門システムの有効性

青島 公彦1、内田 貴子2、池田 彩乃2、宇井 聖人2、木下 陽介1、山田 啓子1、小堀 実1、水沼 秀之1、笹倉 裕一1,3 (1. (医)小山記念病院歯科口腔外科・顎口腔インプラントセンター, 2. (医)小山記念病院医事課, 3. 神奈川歯科大学顎顔面外科学講座)

electronic dental record system, validation check, treatment cost calculation

【目的】2015年6月に導入した医科用電子カルテシステムは歯科処置入力時のチェック機能がなく、診療報酬請求の誤りや療養担当規則に沿った歯科診療録作成が困難な問題があった。その改善目的に2018年6月にメディア社製歯科用部門システム(WithTM)を導入した.今回,本システム導入前後の診療報酬請求後の返戻・査定率,更にレセプト点検時間や導入前後の収益性の比較検討を行ったので報告する。

【方法】歯科の部位(歯式)、病名、処置,料金はWithTMによる入力に変更し、ナビゲーション機能により入力をチェックした。入力情報は電子カルテシステムのMI-RA-IS/PX®(シーエスアイ社製)に送信され,更に会計システムのMegaoak-IBARS2®(NEC社製)で会計情報を取込むように連携を設定した。

【結果】歯科処置の不具合はナビゲーション機能により入力時チェックされたので、会計や診療報酬請求時のミスは減少した。特に医科用電子カルテでは入力ミスが多かった歯科特有の部位(歯式)と病名と歯科処置の整合性は改善した。また過去の請求と矛盾する入力は減少し、縦覧点検により指摘されるミスも減少した。導入後はレセプト点検に要した時間や診療報酬請求後の返戻・査定率が50%以上減少した。また入力が簡便化されたため診療が効率的になり、時間当たりの診療患者数が増加した。その結果、導入後1年間の外来の保険治療収益は導入費用を上回った。

【考察】医科用電子カルテのみの運用では適切な診療報酬請求に沿った診療録作成は著しく不満足であった。今回,本システム導入後にレセプト返戻・査定が半減した事から,診療記事入力時にチェック可能な歯科用部門システムの導入は品質の高い診療録とレセプト作成の改善に貢献したと思われる.導入コストは高額であるが、長期的には遙かにそれを上回る増収が見込めた.