Japan Association for Medical Informatics

[4-E-2-05] 医療情報の標準化 -標準化の幅と深さ

木村 通男1 (1. 浜松医科大学医学部附属病院医療情報部)

現在病院情報システムが扱う医療情報の種類には、患者基本情報から始まり、画像、処方・注射、検体検査結果、登録病名(DPC含む)、各種検査レポート、各種サマリー、各種計画書・指示書、経過記録、外から来た各種書類などがある。ここに記載した順に、標準化が進んでいる。とは言っても人間が読めばわかるレベルではなく、データベース化し、検索可能としなければ、Big Dataとして活用できない。その観点からは、DICOMによる画像(主として放射線のみ)、HL7により、SS_MIXで貯める処方・注射、検査結果、病名などがそれにあたる。退院時サマリー、検査報告書がその構造化の緒に就き、厚生労働省標準となりつつある。ウェアラブルセンサーなどIoT機器からのデータ、外部のサーバーで分析した結果といった、外から入ってくるデータもこれからは増えるであろう。

この、データベース化、検索可能という点で、深さを評価しよう。まず、記述対象が標準化されている必要がある。CT画像は放射線技師がきちんと上向き、眼窩と外耳道のラインを出しており、スライス面は整っていることが多い。検体検査はmg/dlなどの計量値はまだよいが、定性評価の場合、-から3+までか、4+までか、希釈倍率か、これが揃わないと統合できない。当然薬品コード、検査項目コードも同じである必要がある。それぞれHOT9, JLAC10が厚生労働省標準であるが、SS-MIXストレージ稼働施設でも、普及率は15-25%である。次にはDICOM、HL7 v2.5といった標準形式が重要である。さらに、オーダエントリ情報は、運用によって報告のタイミングが異なるなどのブレがあり、これを、プロジェクトを2年間延長してまでしっかりそろえたのが、PMDAによる薬剤安全性のMID-NETプロジェクトである。エビデンスを求めるなら、このレベルのバリデーションが求められ、それらに目をつぶったBigDataは使い物にならない。せいぜい当たりを付ける程度にしか使えないことを銘するべきである。