Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-1-04] 医療情報システムにおけるストレージ管理に関する考察

中原 孝洋1、守下 昌輝2、林 政成3、永松 浩4、久藤 元5、冨永 和宏6 (1. 九州歯科大学共通基盤教育部門, 2. 九州歯科大学歯周病学分野, 3. 九州歯科大学事務局病院事務部, 4. 九州歯科大学総合診療学分野, 5. 九州歯科大学副理事長、CIO, 6. 九州歯科大学顎顔面外科学分野)

Storage, Server Virtualization, System Management

【はじめに】ストレージの設計は、あらゆるシステムにおいて重要である。医療情報システムにおいては性能への要求が高くなりがちで、容量のマージンを含めコストの上昇に繋がりがちである。サーバ仮想化が一般的となりつつある中、ストレージに関するリスクもある。今回、電子カルテ導入後2年を踏まえた評価と、経験したトラブルについて考察を行う。

【方法】九州歯科大学附属病院では、2017年3月に電子カルテに移行した(外来のみ)。これは2013年に導入された医事オーダリング(発生源入力)を中心としたシステムを拡張したものである。臨床検査システムの更新と、画像管理、文書管理のシステムを新規に構築したが、これらは大学法人・学部の仮想基盤上に展開した。各ベンダには、5年後の蓄積データ予想量を前提にしたストレージ希望容量を提出させた。

【結果】各ベンダ希望通りの容量を確保することと、同時期に病院以外のシステム追加もあり、仮想基盤のSANエンクロージャ限界まで増設を行った。25か月目の実績から、画像管理、文書管理システムの5年後の使用容量は90.2%に達し、容量不足の懸念がある。また、電子カルテサーバでは、一部のファイルシステムで使用率が90%を超えており、危機的な状態となっている。
また、仮想基盤において、ストレージ容量不足によるサーバの大規模な停止に見舞われ、応急処置として不要な仮想マシンの削除を行った。不用意なスナップショット作成で容量を逼迫したことも判明し、ベンダへ周知徹底を図った。

【考察】システムの導入時には需要予測が重要となるが、特に新規の場合は困難である。システム監査のチェックリストにディスク容量を確認する項目がなく、確認が不十分であった。ベンダの保守に依存している体制は運用に脆弱性をもたらしているといえる。実際にシステム停止を経験し、対応に苦慮したことからも、システムの全体監視を強化する必要を痛感している。