一般社団法人 日本医療情報学会

[2-A-1-01] 画像診断装置と画像情報システムにおけるAIの利活用

*尾藤 良孝1 (1. 富士フイルムヘルスケア株式会社)

現在急速な発展を遂げているAIは,画像診断を高精度化・効率化する技術として期待されている。我々は,放射線科の検査ワークフロー全体を支援するために,画像診断装置と画像情報システムの両者を基に,撮像支援や画質・撮像速度向上,読影支援,故障予兆解析などをAIにより高度化した技術の開発を行っている。本講演ではMRIを中心に,これら技術開発について紹介する。
撮像支援においては,自動撮像位置決め技術が挙げられる。通常MRI検査では,操作者が予備的に撮像して得られた画像上で,詳細情報を得るための本撮像の位置を決定している。自動撮像位置決め技術は,予備画像上で撮像候補位置を自動で算出・提示することで,操作者の負担を軽減することを可能としている。画質・撮像速度向上においては,ノイズやアーティファクトの抑制技術が挙げられる。画質向上のために従来様々な形態フィルタが用いられてきたが,この技術はノイズやアーティファクトの低減された教師画像を予め学習したAIフィルタにより,さらに高い画質を目指すものである。また,MRIでは画質と撮像速度が逆相関するため,画質を向上する技術は撮像時間の短縮に活用することが可能である。読影支援では,Computer Aided Detectionや定量的な診断指標の定量化技術が挙げられる。例えば,脳に生じた微小出血や浮腫に係る画像変化を解析し異常と認められる領域の個数や面積の算出,およびアルツハイマー病等で生じる局所的な容積縮小や組織の磁化率変化を統計解析し正常値からの乖離度合いの算出などがある。これら技術により,読影の客観性の向上や労力の低減を目指している。なお,これら技術開発では,ルールベースやSingular Value Decomposition等の機械学習,ニューラルネットワークなどの要素技術を目的に応じて組み合わせている。本講演では,これら要素技術とその組合せについても紹介する。