16:15 〜 16:30
[1A10] 原子炉建屋構造材に付着したストロンチウムの化学状態解析
キーワード:福島第一原子力発電所、コンクリート、ストロンチウム、蛍光X線分析、広域X線吸収微細構造
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉においては、それに伴う解体廃棄物を安全かつ合理的に管理することが必要である。Csに関してはその浸透挙動に関する情報が比較的多く取得されつつあるが、Srに対するデータはいまだ少ない。原子炉建屋等において、大量に存在するコンクリート構造材へのSrの放射性物質の付着・浸透メカニズムを把握することは、その性状に応じた適切な処理・処分を施す上で重要な情報である。本実験では、陰イオンの異なる水溶液、SrCl2及びSr(OH)2水溶液を用いたSrのコンクリートに対する浸漬試験及び浸漬後コンクリートのEXAFS分析と蛍光X線分析を実施した。XRFにより、SrCl2及びSr(OH)2ともに表面から深部にかけてSr含有量が減少傾向にあることが確認出来たが、pHによって浸透速度が変化することが明らかとなった。また、SrとCsの比較では溶液とコンクリートのpHに差がある場合、Srは浸透量が多くなる一方、Csは浸透量が少ない結果となった。EXAFSによるSr近傍の構造解析より、SrCl₂は、Sr(OH)₂と比べSrの吸着量が大きい結果を示し、XRFと類似した傾向を示す結果が得られた。