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[123] 利便性の高い住宅地での水害による被災世帯の住まいと経済的負担に関する実態分析
-令和元年台風19号水害 神奈川県川崎市の住宅の修繕を事例として
キーワード:令和元年東日本台風、在宅避難、水害保険(火災保険水害補償)、応急修理制度、仮住まい、内水氾濫
近年、利便性の高い浸水想定区域の人口が増加し、内水氾濫等の都市型水害が頻発し、多数の家屋が床上浸水以上の被害をうけている。本研究では、2019年台風19号の多摩川流域を事例とし、住宅被害と復旧における被災世帯の経済的な負担と課題について分析した。結論として、以下のことがわかった。①被災家屋の修理費用は被害区分と明確に関係していない、②水災補償の支給額と住宅の修理費用の関係についていくつかに分類できるが、一部は社会経済的に脆弱な層もある、③応急修理の開始時期が遅いのは建築業者の都合だけでなく、被災世帯が水害補償の払戻金額が決まるのを待っていた面もある、④自治体独自の支援金は借家世帯の受給率が相対的に低い、⑤仮住まいは、行政が用意した公営住宅の立地や申請条件や時期が合わず、自ら住宅を借りた世帯が一定数いる、⑥水害後に転入した世帯の大半は、集合住宅の1階を賃借し、被災した地域であることを知っている。 また、住居内垂直避難が不可の集合住宅の1階に居住する世帯の一部が水害時に自宅に留まっていた。以上から、水害補償の加入の推進と共に、公的な支援制度の運用面や都市計画的な予防的な方策の検討が望まれる。