[PB024] 児童の放課後生活状況把握と影響要因の検討
QOL,シャイネス,学校適応及びサポート環境との関連
キーワード:放課後, 児童, 生活空間
問題
放課後の過ごし方は学校と比べ幅があり,放課後居場所を整えてゆく上でも,それらを統合的に把握できる指標づくりが求められる。そこで本研究では,週あたりの行動頻度をもとに放課後行動の主成分分析を試みた。また、主成分得点を用いて放課後の育ちと関わる諸要因について検討した。
方法
対象者 関東A市児童保護者の1134組,およびネット調査依頼に応じた全国保護者500名。
手続き A市では学校経由で紙媒体,全国ではHP経由でPC媒体によって実施した。
共通項目 フェイスシートに続き,放課後の過ごし方32項目について,平日1週の実施頻度を0日(ぜんぜん)~5日(いつも)の5件で尋ねた。
追加質問 A市群は6群に分け,各群1つずつ他尺度または児童対象質問を追加した。他尺度は親用小学生版QOL(根本他,2005),シャイネス(岡田他,2012),学校適応評定(小倉,2005),放課後の居場所環境を尋ねる独自21項目だった。また児童対象質問は高学年では保護者と共通,低学年は16項目であった。
結果
放課後活動の主成分分析 A市と全国を統合し32項目で主成分分析を行い,2主成分を採用して解釈不明瞭な項目を除外し反復した結果,第Ⅰ主成分17項目(負荷量平方和32.0%,α=.93),第Ⅱ主成分8項目(12.4%,α=.77)構成を得た。Ⅰは,運動し友と関わり元気に過ごす項目に高い負荷があり,放課後生活の『活発』度を示すと解釈した(表1)。一方Ⅱは,のんびりし好きなことをする『マイペース』とした。保護者と児童本人の該当回答合計値間の相関rは、Ⅰにおいて.57(低学年)と.66(高学年),Ⅱで.41(低)と.34(高)であり,いずれも1%水準で有意であった。
放課後サポート環境の因子分析 放課後の居場所環境21項目について因子分析(最尤法)を行い,2因子指定でプロマックス回転した結果,第一因子として「大人の目が行き届いている」「安全性が高いところで過ごす」など11項目の『安全性』(α=.89),第二因子として「気兼ねなく子どもが集まって遊べる」「子どものよい居場所がいろいろある」など3項目の『利便性』(α=.79)を得た。
放課後活動主成分得点と他の得点 学年層(1から3年の低学年,4から6年の高学年)別に主成分得点と他尺度値の相関を調べた。Ⅰの「活発」とシャイネスには負の相関が,また低学年ではサポート環境,高学年ではQOLと正の相関があったが,学校適応との関連性はなかった(表2)。
考察
他尺度との相関分析から,放課後活動は学校や家庭での過ごし方と別に捉える必要があること,低学年では放課後の環境整備も大切なことが示唆された。第Ⅰ主成分は,「健やかな育ち」に至るとして大人が望む活動像(蓮見他,2010)とよく重なるうえ児童本人の評定とも相関が高く,望ましい放課後活動点検評価の代表指標となりうると期待される。
放課後の過ごし方は学校と比べ幅があり,放課後居場所を整えてゆく上でも,それらを統合的に把握できる指標づくりが求められる。そこで本研究では,週あたりの行動頻度をもとに放課後行動の主成分分析を試みた。また、主成分得点を用いて放課後の育ちと関わる諸要因について検討した。
方法
対象者 関東A市児童保護者の1134組,およびネット調査依頼に応じた全国保護者500名。
手続き A市では学校経由で紙媒体,全国ではHP経由でPC媒体によって実施した。
共通項目 フェイスシートに続き,放課後の過ごし方32項目について,平日1週の実施頻度を0日(ぜんぜん)~5日(いつも)の5件で尋ねた。
追加質問 A市群は6群に分け,各群1つずつ他尺度または児童対象質問を追加した。他尺度は親用小学生版QOL(根本他,2005),シャイネス(岡田他,2012),学校適応評定(小倉,2005),放課後の居場所環境を尋ねる独自21項目だった。また児童対象質問は高学年では保護者と共通,低学年は16項目であった。
結果
放課後活動の主成分分析 A市と全国を統合し32項目で主成分分析を行い,2主成分を採用して解釈不明瞭な項目を除外し反復した結果,第Ⅰ主成分17項目(負荷量平方和32.0%,α=.93),第Ⅱ主成分8項目(12.4%,α=.77)構成を得た。Ⅰは,運動し友と関わり元気に過ごす項目に高い負荷があり,放課後生活の『活発』度を示すと解釈した(表1)。一方Ⅱは,のんびりし好きなことをする『マイペース』とした。保護者と児童本人の該当回答合計値間の相関rは、Ⅰにおいて.57(低学年)と.66(高学年),Ⅱで.41(低)と.34(高)であり,いずれも1%水準で有意であった。
放課後サポート環境の因子分析 放課後の居場所環境21項目について因子分析(最尤法)を行い,2因子指定でプロマックス回転した結果,第一因子として「大人の目が行き届いている」「安全性が高いところで過ごす」など11項目の『安全性』(α=.89),第二因子として「気兼ねなく子どもが集まって遊べる」「子どものよい居場所がいろいろある」など3項目の『利便性』(α=.79)を得た。
放課後活動主成分得点と他の得点 学年層(1から3年の低学年,4から6年の高学年)別に主成分得点と他尺度値の相関を調べた。Ⅰの「活発」とシャイネスには負の相関が,また低学年ではサポート環境,高学年ではQOLと正の相関があったが,学校適応との関連性はなかった(表2)。
考察
他尺度との相関分析から,放課後活動は学校や家庭での過ごし方と別に捉える必要があること,低学年では放課後の環境整備も大切なことが示唆された。第Ⅰ主成分は,「健やかな育ち」に至るとして大人が望む活動像(蓮見他,2010)とよく重なるうえ児童本人の評定とも相関が高く,望ましい放課後活動点検評価の代表指標となりうると期待される。