[PB080] 女子大学生における被感謝経験の検討
キーワード:被感謝経験, 感謝, 大学生
問題と目的
他者に感謝を表明する者がいれば,他者から感謝される者も存在する。この“感謝される”側の心理が近年着目されている(蔵永・樋口・福田,2013;油尾・吉田,2012)。本研究では,他者から感謝されることを「被感謝経験」としてとらえ,青年期の発達に有意義であると考える。本研究の目的は,女子大学生への質問紙調査をとおして,被感謝経験について明らかにすることである。具体的には,被感謝経験を尋ねる項目を作成し,感謝された体験の有無による得点差を検討する。さらに,被感謝経験がもたらす心理的効果に関する記述を収集し,分類,整理する。
方法
調査回答者 千葉県内の女子大学生236名の回答を分析した。平均年齢は,18.97(SD=1.00)歳であった。
調査時期と手続き 2013年7月と11月に質問紙調査を実施した。
調査内容 主な調査内容は,次のとおりである。
被感謝経験項目 特性感謝尺度(McCullough, Emmons, & Tsang, 2002)を参考に作成した4項目に,7件法(「まったくあてはまらない」~「非常にあてはまる」)で回答を求めた。項目は,「私には,心から感謝の気持ちを伝えてくれる人がいる」「これまでに私は,たくさんの人から感謝されてきた」「私は人から感謝されることがよくある」「誰かから感謝された出来事を思い出すことは私にとって難しい」であった。
被感謝経験の心理的効果 「最近1週間で,あなた自身が誰かから感謝された体験」と「あなた自身がこれまで誰かから感謝された体験の中で,最も印象深かった体験」の両方を思い浮かべてもらい,(a)誰から,何について感謝された体験であったか,(b)感謝されたときに感じたことや考えたこと,あるいは相手に対してしたことについて,自由記述を求めた。それぞれの体験には,「思い浮かばない」という選択肢も設けた。
結果と考察
被感謝経験を尋ねる4項目は,主成分分析による一次元性が確認され,α=.81が得られた。平均値は,4.40(SD=1.12)であった。感謝された体験について,最近一週間で思い浮かぶとしたのは138名(58.5%),最も印象深かった体験が思い浮かぶとしたのは61名(25.8%)であった。
被感謝経験得点について,各体験の有無を要因とした二要因分散分析を行った。その結果,最近一週間で感謝された体験が有るとした者は無かった者よりも得点が大きく(F(1, 228)=13.49, p<.001),最も印象深かった感謝された体験が有るとした者は無かった者よりも得点が大きい傾向があった(F(1, 228)=3.31, p=.07)。この結果から,被感謝経験項目は,感謝された実際の体験を反映していると考えられた。
(a)感謝された相手として,友人(48名,35.0%;23名,39.0%),アルバイト先の客(19名,13.9%;3名,5.1%),母親(17名,12.4%;6名,10.2%),アルバイトスタッフ(16名,11.7%;0名,0.0%),見知らぬ人(14名,10.2%;14名,23.7%)が多かった(順に,最近一週間の体験;最も印象深かった体験)。さらに,(b)心理的効果に関する記述は,Table 1のとおりまとめられた。
他者から感謝された経験は,嬉しさ,やってよかったという充実感,そして感謝された活動を再び行うことにつながると考えられる。さらに,相手とお互いに感謝しあうような関係が,最も印象深かった体験で特にみられた。
他者に感謝を表明する者がいれば,他者から感謝される者も存在する。この“感謝される”側の心理が近年着目されている(蔵永・樋口・福田,2013;油尾・吉田,2012)。本研究では,他者から感謝されることを「被感謝経験」としてとらえ,青年期の発達に有意義であると考える。本研究の目的は,女子大学生への質問紙調査をとおして,被感謝経験について明らかにすることである。具体的には,被感謝経験を尋ねる項目を作成し,感謝された体験の有無による得点差を検討する。さらに,被感謝経験がもたらす心理的効果に関する記述を収集し,分類,整理する。
方法
調査回答者 千葉県内の女子大学生236名の回答を分析した。平均年齢は,18.97(SD=1.00)歳であった。
調査時期と手続き 2013年7月と11月に質問紙調査を実施した。
調査内容 主な調査内容は,次のとおりである。
被感謝経験項目 特性感謝尺度(McCullough, Emmons, & Tsang, 2002)を参考に作成した4項目に,7件法(「まったくあてはまらない」~「非常にあてはまる」)で回答を求めた。項目は,「私には,心から感謝の気持ちを伝えてくれる人がいる」「これまでに私は,たくさんの人から感謝されてきた」「私は人から感謝されることがよくある」「誰かから感謝された出来事を思い出すことは私にとって難しい」であった。
被感謝経験の心理的効果 「最近1週間で,あなた自身が誰かから感謝された体験」と「あなた自身がこれまで誰かから感謝された体験の中で,最も印象深かった体験」の両方を思い浮かべてもらい,(a)誰から,何について感謝された体験であったか,(b)感謝されたときに感じたことや考えたこと,あるいは相手に対してしたことについて,自由記述を求めた。それぞれの体験には,「思い浮かばない」という選択肢も設けた。
結果と考察
被感謝経験を尋ねる4項目は,主成分分析による一次元性が確認され,α=.81が得られた。平均値は,4.40(SD=1.12)であった。感謝された体験について,最近一週間で思い浮かぶとしたのは138名(58.5%),最も印象深かった体験が思い浮かぶとしたのは61名(25.8%)であった。
被感謝経験得点について,各体験の有無を要因とした二要因分散分析を行った。その結果,最近一週間で感謝された体験が有るとした者は無かった者よりも得点が大きく(F(1, 228)=13.49, p<.001),最も印象深かった感謝された体験が有るとした者は無かった者よりも得点が大きい傾向があった(F(1, 228)=3.31, p=.07)。この結果から,被感謝経験項目は,感謝された実際の体験を反映していると考えられた。
(a)感謝された相手として,友人(48名,35.0%;23名,39.0%),アルバイト先の客(19名,13.9%;3名,5.1%),母親(17名,12.4%;6名,10.2%),アルバイトスタッフ(16名,11.7%;0名,0.0%),見知らぬ人(14名,10.2%;14名,23.7%)が多かった(順に,最近一週間の体験;最も印象深かった体験)。さらに,(b)心理的効果に関する記述は,Table 1のとおりまとめられた。
他者から感謝された経験は,嬉しさ,やってよかったという充実感,そして感謝された活動を再び行うことにつながると考えられる。さらに,相手とお互いに感謝しあうような関係が,最も印象深かった体験で特にみられた。